求めていた俺
第一部 「変わる日常編」
四話
「さあ、目的を話してもらおう。」
「・・・俺はあのお方に導かれ、この世界の人間達を救うことになったんだ」
桐生の頭の中で何かが引っかかる。
「なあ、さっきから気になったんだが『救う』って具体的にどう言う意味なんだよ」
「・・実は詳細は俺にもよくわからないんだ。ただ、俺は指示されたことをそのまま・・ウッ!!!?」
その時。
黒崎に異変が起きた。まるで見えない首輪が首を締め付けるように窒息を起こしているのだ。
「な、何だ!?」
「さ、最後に・・教えてやる。あのお方の命令を果たせなかった者は・・、『制裁』が行われる・・。ガハッ・・ッ。」
「お、おい!こりゃ一体!?」
「どのみち俺はもう・・助からん。 」
黒崎は最期に口頭で遺言を残していった。
「さらばだ・・。地獄で待ってるぜ。」
そして黒崎はうつ伏せのままピクリとも動かなくなった。その生死は確認するまでもない。
路地裏の外を出ると繁華街に出る。今日の繁華街はワイワイガヤガヤと人気で溢れていた。 デートをするカップル、肩車をしている親子、学校帰りの学生達など。もちろん彼らには「この世界の裏側で起きていること」なんて知るはずもないのだが。桐生は少し目を瞑って考えた。
(救う・・か。)
別に彼らには何の罪もない。ただ平和に過ごしているだけだ。桐生は路地裏の男の言葉を胸の何処かにしまっておくことにした。そして再び目を開き、足を動かす。
To be continued..
求めていた俺