求めていた俺
第一部 「変わる日常編」
二話
キーンコーンカーンコーン・・
四時間目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。 少年はトイレから脱出し、先生が出て行くタイミングを見計らい自分のホームルームに戻る。
今は給食の時間だ。クラス中にくだらない会話が行き交う。友達同士机と机をくっつき合わせていくつかのグループが出来上がっている。
「さっきの授業寝てたわー」
「ワタシモー」
ワイワイガヤガヤ・・
少年もいくつかのグループのうちの一つに所属していた。 少年含める四人のグループだ。それぞれが一斉に弁当の蓋をオープンする。そのうちの一人、デブの友人がなにか言っている。
「やっと給食の時間だもー。このために学校に来てるといってもいいもー。」
デブの名前は敷島悠斗。メガネをしていて常に汗をかいていることからみんなにはオタクだと思われている。でも別に特別な知識とかあるわけじゃない人畜無害な一般人なのだが。
「・・・・」
弁当の米をちまちま食ってるもう一人の小柄な方の名前は栗山マナト。文字通り小食でおとなしい男の子である。
「ちょっと桐生。さっきから何してんのよ?」
少年は自らの手のひらをじっと無言で見つめていた。
少年はハッと、少女の一言で桃源郷から帰還する。
「あ、ああ。何でもねーよ白石。」
紹介が遅れたが主人公と思われる少年の名は「桐生」だ。
「何でもなかねーでしょ。まじまじと右手の掌見つめちゃってさ。なに?手相とかハマってんの?ん?」
サイドテールの少女「白石茜」はズズズイっと会話のネタを広げようとする。茜の目は何故かキラキラプラネタリウム状態である。
桐生は溜息をつき、唇を奪って欲しいのかと言わんばかりに顔をこちらに近ずけてくる茜を右手で制し、
「ちげーよ。ちげーけどさ。」
「何がちげーのよ?」
「なあ、能力ってなんだ?」
シーン・・
桐生のこの一言で四人グループの間の空気だけが限定的に静まり返った。
「ついにこいつ頭いかれちゃったもー。」
先に口を出したのは敷島だ。
「・・・・フッ。」
小柄の少年マナトが一瞬苦笑したように見えた。
そして最後に茜がトドメを刺す。
「ぷっ、フフフ・・。あっははははは!!何よいきなりー!?アンタほんと面白いわ!!」
ゴンッ!
爆笑しながらサイドテールは腹を抱えて椅子から真後ろに転げ落ちる。そして転げ落ちた拍子に後頭部を打ち気絶する。
「お、おい茜ちゃん大丈夫かもー!?」
これまでほぼ無口だった少年マナトが担架で教室から運び出される茜をジト目で見つめながら言った。
「・・・今週で何回目だあの女。」
茜はクラス一のマドンナであり世界一のドジっ子でもある。実は桐生とは幼馴染で小さい頃からよく遊んでる。昔からの仲でさっきのようなことが頻繁にあることは桐生も当然知っていた。
桐生はこめかみに右手を当てて、また大きな溜息をつく。
to be continued・・
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