そこで

そこで

  



 



   



   



   


   


 夕食を食べて、何事も起こらず、離れ離れに。手を握りしめ続けるのに時間がかかって、何度も手を

振った、しばらく遠ざかっていくふりをしながら、もう一度ふりかえって、雑踏に消え入る背中を盗み見る。

精一杯寂しさを押し殺した背中。背中のひとと再び会うことはないとこれほど知っていても、たとえ再び

会えなくても、一度も会えなったかもしれない生涯を思い、これは決して哀切ではなく、その尊い交錯の

優しく帯びたあどけなさ、ふとすべてを希望できる人生が、そこに、いた。



 きっと、必ず、そこで、いて。




  



 



   



   



   


   

そこで

何年も前に書いた。

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そこで

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-01-09

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