Manager of a dream
彼はいつも私が眠れない時にやってくる
「ん……」
なかなか寝付けずゴロゴロしているとね
『どうしたの?眠れないの?』
って言う優しくてすこし掠れた声が聞こえて
「うん…」
そっか、ってさっきの声が聞こえたかと思うと
ピンク色のジャケットを羽織った黒髪の男が現れる
「ねぇ、いつもの歌、歌ってよ」
私をそっと抱き起こし優しく見つめる男に言う
『いつもの歌ね』
彼はそう言って優しく甘い声で歌い出す
彼は私が眠れない時は必ずこれを歌う
けれど、私はこの曲の題名を知らない
それでも、私はこの歌が、彼の声が好きだった
彼の体温に包まれながらゆっくり瞼を降ろす
そして、意識を手放す瞬間
彼は、夢の支配人は耳元でこう囁くのだ
『おやすみ、眠り姫』
Manager of a dream