雨に打たれて

雨に打たれて

有翼のスフィンクスに守られた玉座に座すは
創造と破壊の女神アスタルテ
その眼差しの下に数多の街々が
興っては斃れ
けれども人の涙など
雨垂れほどにも意に介さず

しかし母に愛されぬ娘は雨に打たれて笑うだろう


路地裏の石段、落書きに埋め尽くされたその場所に
優しく微笑む聖母マリア像はあった
敷石に打ちつける雨
聖母は祠の中で
家路を急ぐ人の群れを見る

しかし母に愛されぬ娘は雨に打たれて笑うだろう


排ガスの煙る交差点を見下ろすモスクの尖塔
神はそこにいて、かつそこにいない
恐ろしき世界から妻子を匿う父の背の陰で
母と娘は相争い傷つけ合っている

しかし
やがて母に愛されぬ娘は雨に打たれて笑うだろう

雨に打たれて

雨に打たれて

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-01-07

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted