二号

 あなたの中に私はいない。
 思い知るのはいつだってあなたの汗を額に浴びたときだけだ。動きを封じられた体を上下に揺さぶられて、目の前に火花を散らしながらも、見つめるあなたの瞳はただの穴ぼこである。
 その穴ぼこの中には誰がいるのだろうか。聞くまでもなくわかる答えが悲しい。なんて虚しいのだろう。私の中にはあなたはいるのにあなたの中に私は居ない。
 それがわかっていながらも、虚しさを知ることになるとしても、私はあなたと過ごす夜を捨てることはないだろう。置き土産は残しっこなし。後は何も残らない。

 愛のない交わりも、何も生まないこの恋も。惚れるが負けよ、私は縋ってしまう。きっと私しか求めていない独りよがりのこの恋も、これが幸いと受け止めるから。
 せめて、苦い汁を啜って甘いと微笑う私くらいは、愛してくれてもいいのではないか。

二号

私を見てほしいなんて、言ったらどんな顔をされるのでしょうか。

二号

少しだけ性的な描写があります。全体的に明るくはないので苦手な方はお気をつけください。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2018-01-02

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