二号
あなたの中に私はいない。
思い知るのはいつだってあなたの汗を額に浴びたときだけだ。動きを封じられた体を上下に揺さぶられて、目の前に火花を散らしながらも、見つめるあなたの瞳はただの穴ぼこである。
その穴ぼこの中には誰がいるのだろうか。聞くまでもなくわかる答えが悲しい。なんて虚しいのだろう。私の中にはあなたはいるのにあなたの中に私は居ない。
それがわかっていながらも、虚しさを知ることになるとしても、私はあなたと過ごす夜を捨てることはないだろう。置き土産は残しっこなし。後は何も残らない。
愛のない交わりも、何も生まないこの恋も。惚れるが負けよ、私は縋ってしまう。きっと私しか求めていない独りよがりのこの恋も、これが幸いと受け止めるから。
せめて、苦い汁を啜って甘いと微笑う私くらいは、愛してくれてもいいのではないか。
二号
私を見てほしいなんて、言ったらどんな顔をされるのでしょうか。