チャンス号ガッタン’ゴットン’トントン’ 37
ひとかけらの幸 37
調査活動する者、その上司、あの時のWin-Win*のサプライズ・果実**・忍者活・分析は、その後もつづいていった。
*ウィンウィン、双方が利益を得られるようになる共通関係。ちな、真逆は?loselose損損バイバイ!
**元となるものから生じる収益。
2年ほど経った今アンディは、ボスとのミーティングを終え、直ぐ返すように社用でオハイオへ向かう列車内、ガッタンゴットンゆらゆら。
人気ヒーローに似た、なりきった、車内に、少しうぬぼれていないと云ったら嘘になるアンディ以外にもう一人いた。
人気ヒローといやー、シャーロックホームズもその一人。
887年発刊されたばかりのシャーロックホームズ*好んで読書してるのか仕切りに目を通す者が。
*小説家アーサー・コナン・ドイルの作品。ちなみに、オリジナル作品とされているがよく読むと、それより前1841年のエド・ガー・アラン・ポーの作品を実に綿密に踏襲してる作品ではないか。
真似だ。とまで断言する者も。・・・・ストリー構成や伏線の置き方などがそっくり。どうしてワイドショーで取り上げないのかフシギ、番組も他者を真似てるしね。
日本にも居ました、あの超人気作家山崎豊子作品が盗作?真偽の程は専門家に任せるとして。
エドさんの長所を吸収し自らの栄養として身に付けその力を示したという点ではやはりアーサーさんも秀人さん、としよ。盗人とには変わりはないが。
当初は長編であったため人気は出なかったが後に短編にしたことで大ブレイクするようになる。
が、その人物に白髪をやや混ぜ顎(あご)をやや狭くすれば似ている初老の男性が、斜め前の席に座っていました。
すぐにセールスマンでも普通のサラリーマンでもない風体と感じ取れる。
その姿は、あっちこっちに傷のある革製のケースを足元に置き、難しそうな本を数冊傍らに置き、一冊を左手に置き、右手を膝の上に置き、その手で時折何か空に書き込んでいる。指が、今様タブレットに打つ指さばきのよう。
アンディも右手肘を車窓辺に置き、左手に置いたピーナツを口に放り込んでいる。
何を見るともなく車窓外の風景に目を向けていたが、左方斜めから時折視線がこちらの方へ食い込む。
天井に目を上げ、そのままの姿勢で、その方向へ目を向けると、そのシャーロックホームズもどきと視線がぶつかってしまった。赤い顔をした!ジッとガン見してきた! 赤いのは夕陽のせいだった。
ガン見は視力が弱かったからと直ぐ知る。
難しそうな本ですね。学校の先生ですか?
何を読んでるか知っていたがそう云った。
あっ、アンディと云います。
ウドルフです。先生じゃありません、趣味がこうじて発明家をしています。
あーぁ、あの有名な発明家さんでしたか。
当時少しは名の知れた発明家であった。顔は初めて知る。
えっとアンディさんでしたっけ・・・お若いのにスーツがきまって貫禄ありますね。
もうすぐ22になります。おいくつですか?
43です。
まいった!初老ではなかった。アンディから見れば、10歳以上はシワも深く肌艶も黒ずんでいることから、ほとんどの人が初老と映る悪い癖。
お若く見えますね。そのダークグレーなスーツなんかカッコいいし。
とってつけたような社交辞令を発するアンディ。
お仕事なにをしているんですか?
ピッツバーグ鉄道会社を仕切ってます冗談ですよ。まだまだペェペェですけどね。
いやいやパシリなんてとっても! 何か実なことをしてる方かと最前より匂ってました。
え?臭いですか。
と云うと直ぐに腕やわきの下のにおい嗅ぐアンディ。
わざとらしさは本人自身も認めつつ。
ちがいます。顔は好男子でおられるけど、目の輝きがそこらの青年とはちがっていたので、もしかしたら立派なキャリアある人かなと思っていたということです。
とんでもない。会社で調査等の仕事をしてるだけです。・・・・・・・。
ほー!ピッツバーグ鉄道といえば超一流じゃないですか。しかも調査担当とは、秀いでた才能の持ち主でなければ務まらないでしょ。
ガッタンゴットンゆらり揺れる営業笑いの顔と顔を乗せた列車はゆくゆく~・・・・・
・・・・程良い凸凹感をお伴に。リズムを奏で列車はガッタンゴットン(((((。
共にチャンスの王子様になれたかどうか。
さらに、トントンと軽やかにルードルフとの会話をすすめるアンディ。
天才発明家なんですよね、スーゴーぃ
まぁ、同じようなもんですね。
ニヤリと自慢げに返すルードルフの目はニッコリ、そのまなこ奥は鋭い。
何がですか?
またもか~るく返すアンディ。
ブレークスルー*するまで諦めずこつこつと調査を進めて行くところが。
ルードルフのぴんと張った背筋にその表情。
*break through、敵や難関や困難等を打ち破る・切り抜け、大発見につながる。
なーるほど。発明も調査もトコトンやる意味ではお合いっ子すね。でもイッパツ当たれば大儲けになるんでしょう、発明わ。
よかったら、これ見て貰えますか!
チャックがスムーズに移動せずにケースがなかなか開かない。アンディがその両端を掴むとか~るくサッと開いた。差し出されたノートの指された箇所を見て驚く。
車内にベッドですか!?
驚いたのには理由があった。
アメリカは開拓時代、人々は家族も皆、馬にまたがり、或は、幌馬車に乗って、移動した。それしか方法はなかった。
そこへ鉄道が敷かれるようになると画期的に移動が楽になった。楽じゃないこともあった。100キロ、500キロ、1000キロ以上も車内に固定されたままでは体も固まる。
そこで、横になって、眠ってる間に、目的地まで到達出来れば、鉄道移動も楽になる。
楽になればもっと集客につながる。
これはウケるぞ!
とっさにアンディはウードルフの提案にピンときた。
はい。寝台車です。これで人々は体を楽にしながらアメリカ中、昼夜関係なく、どこへでも行けるようになります。どうでしょうか?アンディさん・・・・・。
取り出した図面中の絵柄を見る限りでは、列車には振動があることから、揺れを軽減する工夫が必要なのでは?スプリングコイルをベッド内に入れてみてはどうだろう?
確かに!・・・しかし前後左右に返って揺れるかもしれません。なので、伸縮する鉄板を縦横に張り巡らせることによって上下にも前後左右にも固定されるようになると考えますがいかがでしょうか?
アタマいい!それでいきましょー!
そりゃあーっ、発明家ですから!アッハッハッハ。
しかし、さすが鉄道会社の一翼を担う者だけあって車輪の回転もはやい!
つられてこの両者共々、大声連発。同時に同乗していた他の旅客たちからの注視も連ちゃん連結ガッタン’ゴットン’トントン’~。
チャンス号ガッタン’ゴットン’トントン’ 37