ゆぶねのうえ
湯船に浸かる
その先に、
さきほど助かった誰かの命が見える
あまり光らないように、お願いしたい、眩しくて、
潰れた、瞳で、訴えたら、
どう?
蝋燭を立てて
息を吹きかけるマネが酷く官能的で
そのままわたしの、湯気に紛れて
蒸気の世界に行きたかった
世界は大丈夫、広いから、大丈夫
…
人の脳みその形が白い匣と同じである
これは夕方のトップニュースだった
みんなそそくさと白いカードを買って
食べ始めたようでした
今日はステーキの筈だと泣く子供
これは大事なことだと怒る大人
白いカードに脳へのメッセージを書いている
泣きわめく子供を尻目に願い事を書く
白い匣は、絶対、だった
歌謡祭は誰も聞かない音楽を流し続けていた
わたしの、好きなアイドルの瞬間だけ、腕を伸ばして、どこかの音符を奪った
音大生じゃないから、
それが何の音符か、わからなかった
温度はある
冷たくて熱くて、手に負えない
〜ちゃんと聞こえていますからね、窓からの怒鳴り声とか猫の鳴き声とか、
玄関先で病人の話をしたら、靴下に空いた穴から贈り物はこぼれ落ちていった
行き先は信心深いあの、ひと、
ヒト?
雪が降っているのか、わたしたちが雪を乞うのか、そのあたりのことは、曖昧にされがちで、12月25日のわたしは、毎年決着を願いながらイライラしていた、
それは、大人の証でもあった
贈り物をだらしなく待っていてはいけません。ちゃんと教科書ノート鉛筆を並べなさい。
いい匂いの消しゴムは、わたしに関係のない世界の産物だったから、口に入れる心配なんて無かった
✳︎✳︎✳︎
唇が切れて、そこから記憶を無くしていく、安易な方法で、わたしはなんらかの傷を癒していく
肉を食べる
キャベツを食べる
ワインを飲む
ビールも飲んだ気がしている
転がるぬいぐるみに、「ハッピーニューイヤー」と呟くと、気温は一気に下がった
間接照明が風邪をひく、
かわいそうだけれど
薬は切れてます
さようなら、
あふれます、
ゆぶねのうえ