手紙

1

誰も傷つけたくなくて、自分も傷つきたくなかった。
だから、他人と深く関わることを避けて、変な意地を張って生きていた。
誰にも自分の心の中を知られたくなかった。
誰にも私の気持ちなんかわからない、って思っていたかった。
そのほうが、ずっと楽だと思えたから。
それでもよかった。
でも、そうじゃないよね。
きっと、本当は、誰かにわかってほしかった。
弱くて、かっこ悪くて、みじめな自分を、それでもいいって、認めてほしかった。
だから、ひとりで泣いていたんだ。

2

涙が止まらなかった。
私をわかりたいと思ってくれる人がいた。
だけど、優しくされるのが怖くて、わたしは逃げた。
ごめんね。
あなたは何も悪くない。
なのに、わたしの弱さゆえに、あなたを傷つけてしまった。
ごめんね。
ちゃんと、あなたの思いはわかっているんだ。
本当はうれしかったんだ。
けれど、素直になれなかった。
全部私が悪かったんだ。
あなたはちゃんと、わかろうとしてくれていたのに。

3

変わりたいって思った。
泣いてばかりの日々はもういやだ。
ちゃんと自分に向き合わなきゃ。
もう逃げてちゃだめだ。
怖いよ。
だけど、それじゃあ、だめだよね。
もう逃げない。
あなたに出会ったから、変わりたいって思えた。
いつかまた別の誰かに出会ったとき、今度はちゃんと向き合いたい。
あなたが好きだった。
ありがとう。
ごめんね。

手紙

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  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-02-23

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