まさに、二次創作。ですとも。

ボカロの二次創作です。
初めはリクエストが入ったので、『或る化け猫の恋物語』です。
初めてのリクエストはとても嬉しかったです。
この歌は物語にしやすくて、書いてて楽しいと思います。
作ってくれた方々には感謝も感謝です。

少女のそれから


父様についていって、『悪い者』をみた時から、私は大きく成長しました。
あの【猫】のようなものはいったいなんだったのか、私には、まだわからないままでした。
何年経っても、それを忘れることはありませんでした。
でも、つい最近、私には、大切な人に出会えたのです。
恋人、と呼べる関係の人ができました。
その人と知り合ってからは毎日が楽しくてしかたありませんでした。
毎日その方を想っては、恋い焦がれ、一日を過ごしていました。
けれど、そんな毎日は唐突に終わってしまったのです。

彼が、死んだあの日から。

事故でした。
あまりに突然のことで回避するすべがなかったそうです。
私は絶望しました。
父様は私を慰めてくださいました。
それでも私のココロは晴れることなく、ずっと曇っていました。
私には、私には、あの方が必要なのに。
どうして、どうして、奪っていくのでしょう。
あの方がいないのなら、私なんて生きている価値がないのに。
あの方が、いなければ、私は、孤独で。
そう、私は、ひとりぼっち。
そんなの嫌でした。嫌で、嫌で、嫌でした。
どうすればいいのかわかりませんでした。
食事すらとる気はしませんでした。父様はやがて私を放っておくようになりました。
毎日を生きることが苦痛でした。あの方がいないのに、私はこんなところで何をしているのでしょう。
どうすれば、いいのかわかりません。どうしてこうなったのかわかりませんでした。
あぁ、神様、私を、

「一人に、しないで。」

毎日、そう呟きました。
呟いたところで何も変わりません。
今日も、お月さまが私を明るく照らすだけです。無償に泣きたくなりました。
「あ、う・・・・・。」
これから、本当にどうすればいいのでしょう。
ひとりぼっちで何ができるのでしょうか。
「あぁ、うえ・・・・・。っひっく。」
この先、どうすればまた笑顔に戻れるのかしら。
どうすれば、私、またあの人に会えるんでしょうか・・。
会いたい、話したい、笑い合いたい、戻りたい、抱きしめてもらいたい。
「もう、どうし、ようも。っひ、ない、し。生きていても、ううぅ、泣くことしかできないし・・。」
泣いて、泣いて、泣いて、
彼を呼び続けて、彼を待ち続けて、彼に焦がれ続けて。
「うわぁあああああああああああああああああああんっ。」
月夜に一人で大声をあげて泣きました。
本当に一人になったのだと、実感しました。
悲しくて、辛くて、寂しくて、死にたくて。
もう、このまま・・・・・。

「・・・・・・・鈴?」

声がしました。
あの方によく似た声が、
また父様が来たのかと、私は顔をあげようとしました。
でも、まぶしくて目を閉じてしまいました。
けれど、その光はすぐに止みました。
おそるおそる、目を開けました。
そこには、驚くべき光景。

「・・・・・・・蓮っ!?」

しわがれた、声でした。
ずいぶんと泣いていたせいでしょう。
顔もボロボロのハズです。
でも、そんなことはもはやどうでもよかったのです。
だって、あの方が戻ってきてくれた。
ずっと、待っていた、あの方が。
本当にあの方でした。見間違うハズがありませんでした。
私は涙で目がかすんでいたけれど、しっかりと見たんです。
そう、目が、霞んでいるんです。それだけです。

彼の瞳と、違う色に見えるのはきっと、気のせいなんですよね、神様。

そんなことは、気にしない。
だって、彼はもう目の前にいるんだから。
私のもとに戻ってきてくれたんだから。こうして、帰ってきているんだから。
私は声を出しました。ふりしぼって、なんとか。
「蓮っ、蓮、蓮!」
彼に飛びつきました。
何も変わらない、あの頃と変わらない。
彼は少し困ったような顔をした後、私を見て微笑みました。
そして、名前を呼んでくれました。
「鈴、僕だよ。」
「・・・・・・・っひ。」
私は声がでず、ひたすら頷きました。
何度も、何度も、繰り返しました。
『あぁ、違う。あなたは彼じゃないの。』
『彼は、もう帰って来れないんだもの。』
『もう、私はひとりぼっちなんだもの。』
『決して、笑顔に戻ることはないんだもの。』
そんな、頭の声は、すでに抜けていました。
もう、いいんです。
彼が、いれば、それで、良かったんです。

そうして、それが全て間違いでした。


彼は、私に言いました。
私を抱きしめながらささやきました。
「もう一人にしないよ。」
あぁ、神様。
私は、なんて打算的なんでしょう。
私は彼の代わりに『この方』を選んだんです。
これが、私の、罪ですね。

まさに、二次創作。ですとも。

長くなりそうですが、よろしくお願いします。
細かいことは気にしないで甘めに見てくださいな。

まさに、二次創作。ですとも。

ほとんど、空想です。 それでも、まとまった話にはなるハズです。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-05

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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