地獄
いつから君を、見ていたんだろう。
自分でも判らない。
多分、距離が近すぎて、いつも傍らにいたから、
気付くのが遅かったのかもしれない。
当たり前すぎて、居なくなる何て事を、考えなかったから
幼い自分の考えに、苛立ちを感じる。
もっと早くに気付きたかった。
もっと優しくすれば良かった。
もっと話せばよかった。
“もっと”という言葉が溢れる様に出てくる。
君の温もりも、声も、香りも、笑顔も、怒り顔も、
感じたい時には、当然の様に側にあった。
だから、急に僕から離れてしまわれたら、
思い出せないんだ。
“当たり前”だった事を。
君の贅沢に慣らされてしまっていたから。
僕の中心が、寒くて冷たい。
氷の湖の中で、僕の心が浮遊しているみたいに。
ああ、そうか。
このまま、この気持ちを凍らせてしまえば
楽になるのかもしれない。
君がこれから歳を取れないように、
身体は老いても、僕の心が歳を取らないように。
待っていて。
時間という地獄を抜けたら、君に会えるから……
地獄
違うサイトにUPしていた作品です。
ショートショートというより詩に近いでしょうか。
ありがとうございました。