夢見るシャンソン人形
8歳のときの風景へ、帰るわ。
わたしは・・・・・・いつか行ってみたいと思った。
いつか見た屋上に。
もうすぐ、空からの手紙が来なくなって、
夢見るシャンソン人形じゃ、
なくなっちゃう前に。
おしゃべりだった週末、憶えてないの。
でもなんだか、手許に残ってるのは、
寒い冬の一日、
テラスであなたと飲み過ごした、お茶の語らい。
あなたは雨を待っていたよね。
いつ、わたしが話を止めて、
日溜りの中へ走り去らないかって、
気にもみながら。
わたし、ぜんぶ、気持ち、読めちゃった。
・・・・・・でも、
それだって、
そのうち、
判んなくなる。
だから、
わたし、巴里へ行くの。
あなたがわたしのこと、
投げやりな道連れにしようとする今にも、
もう、巴里へ行くんだ。
ふん、
トランク、用意してるもん、
あなた、真剣な気持ち欲しがったって、
ゴンドラ焼き潰して、逃げ出すもん、
あたしは、
デ・アールで、
カルチェラタンで、
ルーヴルで、
オランジェリーで、
s'il vous plait なんだから。
もう一度、逢えるの?
昔のように、小さな列車で、通りすがって、
逢えるかな?
それを答えるのは わたしじゃない。
夢見るシャンソン人形
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