ごお!ごお!新天地! 27

ひとかけらの幸 27

Here we go!!(さあ!) 人生再起動だ!!
父の、鶴のひと声!
とどろく。

家族、皆が察した。新天地行きの号令だ、みなも、ごお!ごお!な気持ちへと奮い立つ。
家族それぞれの顔色にも「行くぞー!」の気概が、いや通り越して、覚悟を再認識していた!

すでに貧乏のどん底に舞い戻っていた一家。これ以下ない底の底、泥沼底辺。働けば働くほどインカム(income収入)・ナッシング(nothingつまらない物しか)への悪循環。
皆が異口同音、決心を固めた。強かった、さらに強くした。ゆるぎのない固い決心となっていった。

知る限りの知人・縁者を頼って渡航費用一切の借金をしまくった。ついに1848年にペンシルベニア州アラゲイニー、現在のピッツバーグであるが、に移住した。
アンディは、ソフィーのあのとき同封してあった写真を懐の奥の奥にしまったまま移住した。そこで待っていたのは貧民街であった。

アンディは多感な13歳という思春期、まさに青春登竜門前に立つ。
体には自信があったが心は不安と野望の交錯する複雑な年頃。

If winter comes, can spring be far behind? byイギリス詩人シェリー。
冬来たりなば春遠からじ、の通り、苦労・貧乏・試練・不幸の後には、かならず!?いやいや必ず!! 幸に巡り会える、訪れる、との喩えを信じるしかなかった。

母マギーとアンディとの間におだやかな湯気が立ち昇る。
互いをねぎらい、互いの新天地での誓い、を深呼吸する。

口にしたティーをグイッと深く飲み込む、すると更に、深く、静かに、言葉を吐く。
アンディー、ありがとう。

ママこそありがとう、うーんと、ママをいつか楽にするから!

二人の鼻をすする音が風に消されて。

ピッツバーグは、アメリカ合衆国北東部、ペンシルベニア州の南西部に位置します。幾つかの川が合流したオハイオ川の地点は水陸交通の代々要地となっており今でも重要な河港なっている。

この河港はかなり奥まった内陸部にありながら大海へ通じた位置、つまり、メキシコ湾へ通じているため、交易面でも特に軍事面にとっては都合のよい立地条件下にあった。

第二次世界大戦時は密かに潜水艦修理ドッグとして活躍したことでも有名です。守るによし、攻めるに難攻不落、な立地条件を満たしていた。
このように内陸奥深くに守られ、その上、大海へも通じる交通の要としての役割以外にもう一つ重要な条件にも恵まれていた。

ペンシルベニア炭田の石炭とメサビ鉄山の鉄鉱石が豊富に採れるという天然の要塞地であったことです。
これは、鉄鋼業を発達させるまたとない素地に恵まれていたことを示唆する。
この重工業は国の基幹産業となる、且つ、世界に対する国力発揚の両バロメータとなる、それほどの大切な鉄鉱石、産業、リッチ、に恵まれる地。

現に多数の製鉄所が立地しアメリカ合衆国最初の工業地帯になった。ここでキ-ポイントはUS自身が大国への一歩ともなっていく足掛かりの地となったことです。合衆国だけにとどまらず、夢を賭け者にとり、大衆の多くにとり、そして、アンディにとっても、です。

生産量がハンパない。
第二次世界大戦中に鉄鋼生産量の最盛期をむかえ、ドイツと日本の鉄鋼総生産量を合わせた以上の鉄鋼を生産していたと聞く。これじゃナチスも神風大日本帝国も勝てるが訳ない。
情報力お粗末で敗れた日本・ドイツとは本当だったんだな。更に、この地は伴って、金属、機械、化学工業も盛んになる。

代償も大きかった。問題が発生したのだ。
鉄鋼業の最盛期には、工場から出される煤煙が全地域をおおい、ダウンタウン辺りでは昼間でも点灯しなければならなかったことから「煙の町」と呼ばれることもあった。アメリカ合衆国の公害問題は、ピッツバーグ市の煙害から始まったと言われるぐらいです。

ここでもう一つキーポイントなることが。
この貧民街一帯だった所にまさかのまさか、アンディ、その人が、活路を拓き活躍したということだ。大~~きく幸運への道をステップアップしたということです。チャンスを掴んだと云うことです。
やはり本当だったか、チャンスの女神の髪は、前にあるだけで後ろ髪には無いとは、・・・・・・サッと通り過ぎる前に掴める者は運に恵まれる。

どうやってアンディが一枚噛んで来ることとなったのか?
大規模鉄鋼所を設立するようになったといことです。どのようにして? その資金を? そのつてを? 仲間を? 手にしていくようになるのだろうか?
これに至るにはまだまだ山あり谷あり。

公害問題だが、1950年代と1980年代の2回にわたる大改造政策の元に大規模再開発が行われ、今日では、大学など文化が盛んになり、優秀な医療施設なども整い、良質の飲料水が採れ、他数々の自然環境にも恵まれ、なによりも住宅が安価であることから、全米から憧れの地と見直されるようになって大変貌を遂げたピッツバーグとなった。

ちなみに、文化では“おおスザンナ”、医学ではビタミンCの発見、ポリオワクチンの開発、世界初の試験管ベビー、などこれらすべてはピッツバーグ発です、すべては、良きにつけ悪しきにつけ、人々の為せるワザ所以(ゆえん、わけ)である。

アンディ一家が移住した当時そこは貧民街そのもの、それ以上でもなければ以下でもない、ということです。しかし、この短所は深刻であった。
アンディ家族4人中、幼い弟のトーマスを除いて、皆が懸命に働かなければ食べていけない。これは生易しい選択ではない。だがこの選択肢しかない。

それでも、さすが世界中から人々が集まる新興国家アメリカへと。
新興とは新しくおこすことの意味通り、先ず家族全員の心をこぞって新興することから始まった。この勇知に燃えたからこその家族とアンディ。

ごお!ごお!新天地! 27

ごお!ごお!新天地! 27

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-21

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