現代少年と最後の敵
序章―出会い
ここは地獄絵図。そう呼ぶのがふさわしいような場所
パチパチと音を立てながら炎の柱が何本も上がっている。
大地のくぼみには、満たんにマグマが入っておりプクッと音を立てて弾けている。
汗がにじみ出てくる。そんな暑苦しい場所。
この景色の真ん中に立っているのが城。―――魔王の城だ。
あぁ、そうさ。この世界で一番強い魔王だ。
その魔王様が、住んでるお城。誰も近づこうとはしないさ、何故かって?
魔王様に見つかったら、命が何百個あっても足りないさ。
死ぬとわかって近づくバカは流石にいない。
あぁ、今あの城に向かってる【彼は】例外だね。
ま、彼は命が1個で魔王に勝てる力を持っているからね…
彼―――「乃愛のあ」
愛らしい名前を、持っている少年。
しかし内面もそうかと聞かれたら、断言はできない。容姿がそうではないからだ。
彼の姿は、おじいちゃんのような白髪で染まっている。―――否。おじいちゃんとは比べ物にならない絶世の美男である。
彼はここまで歩いてきた。
何体もの強敵を倒してきたのだ。
ゴーレム、セイレーン、ドラキュラ、ハイパーゴブリン…
数えるには、5倍くらいの指の数が必要かもしれない…
まぁ、ここまでの距離は長かったはずである。彼の心中はわからない。しかし、彼に『最後の敵ラスボス』までたどり着いた嬉しさはない。
心の底から断言できる。
クールでかっこいい彼(乃愛)は、完璧であるのだ。
ただ一つ、現代っ子すぎる点を除けば。
これはどうしようもないことなのだが、彼はスマホ、ネット、パソコンなど現代の物に頼りっぱなしなのである。
ほら、今も見てみなよ。
体はしっかりお城に向いて歩んでいるけど、顔はガッチリ手のひらの、スマホに目が向けられている。
こんなので、魔王を迎え撃つとは考え難い…。
一方…。
こちらは魔王のお城。
これから、魔王と勇者(乃愛)との、決戦が始まる。
先程言ったように勇者には、欠点がある。
現代っ子すぎる点だ。
一方、魔王様にはない…
なんてことにはならずに、魔王様にも欠点はある。致命的な欠点。
それは、最後のボス(ラスボス)の癖に、ドジでおっちょこちょいな事である。
顔は悪魔のように、引きあがりすぎている口角。角が2本闘牛のようにしなっている。
黒いマントを背負い、威厳を放つ。
「わしが、あれ?なんだっけ…お、おい!テシタ!」
「はい。テシタです。乃愛です。の!あ!」
「あ、そうだ。わしが!のあをたおす!たっ…ぶん!」
ほら、文章能力ないのとテンパリ度半端ないっしょ。
これからどうなることやね?
ま、いっか…
2人の戦い。
現代少年と最後の敵
現代少年と最後の敵