勇気百倍、恋パワー千倍 21 ひとかけらの幸
着いたときは、背中のグッチャリは忘れ、見上げれば
その後も、ずっとズット、甘い甘い電波がビッビと、ときにはウットリと、届く届く。
何処に居ても、何をしてても、追いかけて来てならなかった。
やわらかく、そっと撫でるような手触りは胸の奥の奥まで、触れてはいなったが触れていた・・・・・あのオーラー姫タン~!
このウズウズは止まらない。止めるだけ損、損。思うや否や、アベル、愛称名アビーと呼ぶ友だちだが、のところへ向かていた。
ドロケーをよくする仲間、秘密基地の隊員同士、悩みも夢も語り合う佳き友ナウ。
特に親しくなったのが、アビーの窮地を救ってあげたとき以来の仲。
草の、樹木の、柔らかい部分を寄り集め編んだロープ状の物を高い樹の幹周りに巻き付け徐々に階段のようにくくり付け登り良くし、見晴らしの効く基地司令部で、下界を眺めながら、お菓子を食べながら、互いを語り合うのが日常の遊びのひとつになっていた。
ここらは、鳥たちの遊ぶ姿も眼下に、遠く営み生活する村人たちの姿もおもちゃの人形のように眼下に、パノラマ眺めいっぱい広げ。
とある日のその時、アンディ一行とは大違い、身長差20・30センチ以上にもなるだろうか、4人程のれいのイングランド暇人族の出没。
ヘイ!死にそこない猿ガキ、Fack you!!*、貧乏暮らしかよ、樹にへばり付くしか脳はねえモンキーだしなあ!云うや否や、既に持っていたナイフでそのツルを切り始めた。
*ファッキュー、ムカつき野郎
アビーが降りる途中であった。あっという間に地面に転落、額を切る、血が出る、既に立つことすらできない、右足骨折。
アンディたちと共にしていた他3人はそっと後ずさり、の瞬間、ドッと猛ダッシュダッシュ、姿は遠くに。
それでもそこに居たアンディに殺気が突く突く、Son of bitch!!*、が逃げなかったHoly shit!!**、いざとなれば噛む!どこであれ最後は急所だって、コレしかないと覚悟した。
*サノバビッチ、このくそ野郎
**ホーリシット、え、うそだろ
このアンディからの逆殺気だったのだろうか、バーカー死ねばあ、ケラケラケラケラのバカ笑いを残し族共一行ご退場となる。
アビーの家まで、遠いなあ、小川を超え二つの岡を上り下り、もう背中はグッチャり、額から垂れた血だろうか、涙目の、鼻水の、抵抗できなかった悔し泣きの、イングランド系が仕切ってる商いを親に回してくれなくなるというなんとも言い難い挫折感涙か、どれかにはちがいない、全部ミックスかもしれない、「もう降りる」と幾度となく云うが、歩けるはずないのに、男意地だろうか、プライド、ガタガタの裏返しだろうか、ついに彼の家まで背負い通し連れて行く。
着いたときは、背中のグッチャリは忘れ、見上げれば、すっかり輝く星空でいっぱい。
あらああああ!おとうさんんんん!!早く!
出てきたお父さん屈強な大男、震えてる、かすかに振動する両握りこぶし。振動し逆立つ髪の毛。
アンディー! と云うと、痛かった、抱きしめられた。
お父さんの振動はとまった。
アンディ家路へと、心配し付添うお父さんに送ってもらう道々、お母さんから貰ったスコットランド発明の特産ショートブレッド*を食べながら、ふと空を見上げると、辺り一帯電気を灯したような、真ん丸なお月さんが、明るく照らし、ニッコリと・・・・・・。
*日本で云えば、バタークッキー、食感サクサク中モチモチのバターがいっぱい入ってるスコットアランドを代表する分厚いクッキー。ここ日本で見るのは稀とか(バターが少量のせいか少しパサパサ感のある小さく薄く似たものはあるらし)。
すっかりこの時以来、アビーとは仲間以上の親戚以上の同郷家族も同然となっていく。
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