干し肉の宴“怪”
家政婦の家畜牛はよく働く。
近くに住む、奴隷魔女の魔法によって、姿を牛に変えられた人間だという。
この街には魔女が三人いて、とても意地が悪いらしい。
しかし、得に悪さをしなければ、報復に合わなければ、
偉そうなだけだという噂はある。
家政婦は
ここらで一番金持ちの家の家政婦をしている。
なので気合を入れて食事や掃除、火事全般を毎日、そこそここなす。
今日は夕食にシチューを作った。
サラダもある。
「ただいま」と声がする。
おくさまが家政婦に笑顔を向ける。
夕食のシチューをたべながら、
「しかし、君がよく料理に使う肉は何の肉かね?僕はこんなおいしいものは食べた事がないし、くせになるね。」
お金持ちはそういう。
その家の主人はとても立派な人で、小児科医をしている。
このお金持ちは、世界中で色々な食べ物を食べたと食事の最中、いつも豪語しているが、それは嘘かと、家政婦の牛は肩を落とした。
しばらく考え込んでいたお金持ちは、
「まさか……、私が食べた事がないものとは……。」
とポツリ、それをみていた奥様が、テレビの番組を変えた。
家政婦は、にやりとした。
しかし家政婦の牛は、その二日後に彼を自宅へと案内した、
そこでは、肉塊が日々生産されているようだった。
玄関を開く。
主人はぎょっとした
「これは……。」
それは子牛の肉塊。魂はなく、座敷の中にいくつか転がっている。
「生まれてきてしまうんです。」
家政婦の家畜牛はそういった。
めずらしく、彼は掃除をした、家政婦は人の家を片付けたり、世話をするのが得意だったが
自宅は汚かった。
そこで主人は三日間の休みをやった。
三日後、家政婦は干し肉のプレゼントを、ご主人に渡した。
「土産かい?ありがとう。」
「私は病の牛です。
食べられる前に死にます。
家政婦の家畜牛には右手が無くなっていた。」
「旅行をしなければ」
そういって、お金持ちは干し肉をゴミ箱に捨てた。
「みやげなんていらないのに」
奥さんは笑った。
干し肉の宴“怪”