イルミネーションの再会
「あ"ー!」
小説が思うように進まず、気分転換に外に出た。そろそろクリスマスだから駅前イルミネーションやってるかなぁなんて思いながら駅まで歩いていると、ふと、アイツのことを思い出した。
『じゃあ、またね』
そう言って空港のゲートに消えていった君を見送ったのはいつだっただろうか?
多分、一年くらい前なんだろうけど何十年も前のことに感じる。
この一年で目まぐるしく色々な事が起きた。
ーー仕事でも、プライベートでもーー
でも、絶対に彼女との思い出は消えることは無かった。
初めて深夜バスで出会って二人で過ごした一夜も、クリスマスの日イルミネーションの中で再会したことも、そして、その中で結ばれたこともーー
でも、あの日、彼女が空港のゲートに消えていった日から俺の時間は止まってしまった。環境がどれだけ変わろうと、どれだけ大きな仕事が入ろうと俺の時間はずっとあの日のままだった。
ふと、俯いていた顔を上げるとイルミネーションの光が美しく駅を彩っていた。
確か、ここでアイツに告白したんだよなぁ……なんて思いながらイルミネーションを見つめた。
「会いてぇよ馬鹿……」
「お待たせ、成亮」
という懐かしい声と共に背中に温もりを感じ涙を必死に堪えた。
「おせぇよ馬鹿」
「ごめんって」
なんてくすくす笑う彼女を力強く抱きしめるとそれに応えるように彼女は背中に手を回した。
「これでも、大好きな成亮のために頑張ったんだからね?」
「っ……」
とうとうこらえ切れず涙を零してしまった。
え、なんで泣いてるのー!?と騒ぐ彼女に強引に口ずけた。
「おかえり……愛してる……」
「ただいま、私も愛してるよ」
再び二人の影が重なった。
ーー二人を祝福するようにイルミネーションが輝いたーー
イルミネーションの再会