夜道に気をつけて
夜道に気をつけて
帰宅中君を見かけた
他人となった僕は
何も声をかけることもせず
憂鬱と家へ向かった
過去を振り返るのは
無駄だと本で読んだけど
過去にしか僕は生きていないから
今日も独りきりの部屋で
あの頃を思い出しては泣く
アルバムをめくっては
やり残したことを後悔して
前を向くのが嫌になる
明日も誰もいないベランダで
涙とタバコを吸う
現代的な社会を
受け入れられずに
嫉妬に塗れた僕は
皆より空高く浮かんで
破裂して消えた
人間に大切なのは
既に過ぎていく今だけど
無駄に費やすのは飽きたから
言い訳を自由に言うのも
理屈は抜きで戻りたくて鬱
カーテンを開いては
闇に染まった街から
何処かで泣いている君を探す
ずっと誰もいないベランダで
僕の脳を打つ
夜道に気をつけて
今は忘れたと思うが
一度した誓いは
どちらかの命が果てるまで
解けることはないから
夜道に気をつけて