自分探し

※注意
文才はないです。
すごくのーんびりと書いていきます。

所々誤字脱字あるので、気づいても(なんだこいつ??)と思わずに広い心で読み進めてください…私も誤字脱字が出ないように気を付けて進めていきたいと思ってます。

はじめ

真っ黒い部屋を真っ白に染めてそこに自分を作り上げる。

まずは赤。
情熱に燃え上がる真っ直ぐな色。

次は青。
冷静に物事を考え素直な色。

次は黄色。
キラキラと明るく、目立つ色。

次は桃色。
恋の色。みんな恋をすると桃色に染まる。

次は紫。
ミステリアスで謎の多い不思議な色。

次は藍色。
深く、深く、そして手の届くところにある優しい色。

次は…次は…次は……


そうして白く染めたあの部屋は自分を作った色とりどりの色を重ね尽くし真っ黒い部屋に変貌していた。


「黒い…」

これが本当の自分の気持ちなのかもしれない。
自分の心の中はぐちゃぐちゃで綺麗なものなんてない。
黒く、いろいろな人の色で個性は消され、自分がわからなくなっていく…

本当の自分のいろはなんなのかわからなくて、また黒く染まったこの部屋を白く染め自分の本当の色を追い求める。

「僕の色はなんなんだ…?」

そう呟いて、また色を重ね始めた。

ぶかつ

僕は美術部の一人としてここにいる。
最近はむしゃくしゃしてぐちゃぐちゃした絵しか描けていないのだが、先生からの評価は上々だ。

「木村くんってこんな絵も描けるのね」と、

いつも部活で描いている絵は、先生から出された課題とそれが終わり次第自由に絵を描いていいというフリーダムな部活だ。

僕は木村和也。
最近学校に行く意味を感じない高校二年だ。


「はぁ…」ため息が溢れる。

今日の部活での先生からの課題は石膏像のデッサンだった。
今日は自由に絵を描きたくて描きたくて描きたくて堪らなかった。

「こう、なんで今日に限ってデッサンなんだよ…」

愚痴をこぼしながらスラスラとペンを動かしていく。

「きーむらくんっ!」

ギュッと背中に抱きついてきた。こいつは上村瑠海、めんどくさいやつがやってきた。

「なんですか?」
「いやぁー今日も素敵な絵を描いてらっしゃいますなぁー」
「ただのデッサンだけど?」
「そーぉお?私は木村くんの絵、大好きよ。」

キャンパスと石膏像に目を凝らしてじっくりと描いていく。

「木村くーん?無視ですか?」

無視というより、早くこの絵を終わらせたいだけだ。

しばらくギュッと背中を掴んだままだったが、
「ぶー」と、

言いながらそっと僕の背中から離れていった

上村さんも美術部で、部長をやっている。
上村さんの美的センスはピカイチだ。
上村さんに褒められるのはありがたいのだが、何故か気に触る。

「絵が好きだから俺に絡んでくる。俺自身は好きではない。」

そうとしか思えないのだ。

「ありゃ?怒っちゃった?」
「えっ?」
「手。止まってるよ?」
「あ…あぁ…」

上村さんに言われてから気づいたが、いつも間にか手が止まっていたらしい。
それを見てなのか、上村さんが口を開く。

「うんじゃ、お邪魔みたいだからこの辺で退散するね!」
「あ、はい」

はぁ、やっと出て行ってくれる。
美術室を後にしようとしている上村さんの後ろ姿に一言かける。

「あの!」
「ん!なーに?」

声をかけられたことが嬉しかったのか、ちょっとだけ声のトーンが上がっていた。

「このあとは、自由課題ですよね? 」
「うん!あー、そうそう。木村くんには「自分」っていうだいの絵を描いて欲しいんだって」
「え?「自分」ですか?」
「そうそう、「自分」っていう題の絵を描いてって先生直々に言ってたよー」

先生からのリクエストがあるのは珍しい。
なにか出展するきでもあるのか?

「どっかに出すのかね?」

上村さんが僕の心の中を覗いたかのようにそうつぶやいた。

「さあ…」

と、返しデッサンを始める。

「いい作品期待してるよ!」
と、言い残し上村さんは教室を後にした。

「ふぅ」
みんなから批判されないような作品ができあがった。

「よーし、新しいキャンパスわっと…」
美術準備室をがさがさあさっていると、一枚の絵に出会った。

その絵は熊澤絵里の作品だ。
(熊澤…)

熊澤はうちのクラスの人、そして大切な人…だった人。
今はクラスにも学校にも部活にも来てない。

(ったく、部活にぐらい来いよ…)

ぼーっと絵を眺めていると後ろから声がした。
「えー、木村くん?」

振り返ると、顧問の先生がいた。
「あ、先生。新しいキャンパスはどこにあるんですか?
「あー、えーっと、たーしか……」

がさがさと準備室を漁り始める。
あたりを見回すと熊澤の絵がいくつか飾ってあった。

「先生。」
「ん?なんだい?」
まだキャンパスが見つからないらしく、先生は振り返らなかった。

「熊澤は生きてるんですか?」
「生きてるよーたまぁーに部活にも来るよ。」

そういえば飾ってある絵をよく見ると、絵の具の感じが新しい。

「熊澤は…何がしたいんですかね…」
この絵は熊澤らしくなく、派手で明るい色をしていた。

題名は「空元気」

(空元気ね…)

「今度の水曜日部活はないけど熊澤が来るから教室開けとくからくるかい?」
ついで新しいキャンパスを入れとくと言っていた。

「じゃ、木村くんも絵を書き終わったことだし、そろそろ閉めるけどいいかい?」
「あ、はい」
気づくともう辺りは、満月の光でいっぱいになっていた。

美術室を出ると廊下が真っ暗だった。
今日は満月らしく窓から差す月の光が幻想的だった。

(写メとっとこ…)

がさごそとバックを漁っていると携帯がないことに気づき教室へ向かった。
俺の学校は校舎が三つある、昇降口のある校舎を一合舎として、美術室がある校舎が三合舎になる。
俺の教室があるのは二合舎になる、正直取りに行くのはめんどくさいのだが明日のこともあるので渋々足を動かした。

「すごっ…」
教室につくとそこは教室ではなかった。

月の光に照らされて幻想的で、もし机がなかったらここが教室という考えはドアをあけた瞬間どこかに飛んでいってしまうだろう。
自分の机に向かう、日の光に照らされて熱くなる机のように、月の光に照らされている俺ははどんどん冷たく、自分を失いつつあった。

「あったあった」
案の定机の横にかけておいたトートバックの中に入っていた。

ここの教室も写メをとって絵の材料にしようと教室を出ようとしたとき、ある変化に気づいた。

「あれ?」
机の数が少ない。

そう、明らさまに少ないのだ。
俺のクラスは38人、普通だったら6人の列が5つに7人の列が1つあるはず。

ざっと数えてみる。
「いち、にい、さん…………にじゅう?」

20個目の机を数えた瞬間、背中に冷気を感じた。
(っ!?)
「振り返ったら死ぬ」
よくRPG漫画の主人公が吐くセリフが頭を過ぎった。

少して、
「あなたはここで何をしているの?」
と、可愛らしい女の人の声が教室の中に響いた。

そっと振り返ると、そこには白いワンピの黒髪幼女がそこにたっていた。

「君こそ、ここで何をやってるんだ?」
と、問いてみると
「あなたの後ろをついてきたの」

「どうして?」
「どうしても」
「なんで?」
「なんでも」
「君は誰?」
「私はあなた」

「えっ!?」
「うわぁ、なによ急に?」

頭が追いつかない。

きょとんとしながら俺の後ろに立っている黒髪白ワンピの幼女。

「ねぇ、ジロジロ見るのやめてくれない?」
沈黙を破ったのは幼女だった。
あまりにも珍しく頭の先からじっくりと舐め回すように足の先まで見ていたら、腰あたりでストップがかかった。

「あぁ、ごめん。」
謝るとキリッと幼女に睨まれたが、怖いというよりも可愛かったのでふわりと笑顔が溢れてしまった。
「何笑ってるのよ、ロリコンが。」
「ろ、ロリコンって!!!」
痛いところをつつかれ反論しようとすると、トコトコと教室を出ようとしていた。

「おい。お前が私の本体の体だとするのだったらついてこい」
と、いわれ駆け足で幼女の後ろについていった。

黒髪白ワンピの幼女についていくと、ここは自分の知っている学校なのにどこが違うところにいる感覚がしてならなかった。

「おい、お前は誰なんだ?」
歩きながら答えが返って来た
「何度いえばいいの?私は貴方よ?」
後ろには振り返ってもらえなかった。

「名前はないからお前でもいいよ」
ポツリと呟いた告白に俺は戸惑った。

「…っ…」
言いたいことがうまく言えなく、口をパクパクしてると幼女がこちらに振り向き
「キモいから、心って呼んで。私はあなたのこと心なのだから、それでいいでしょ?」
そういうと幼女は歩きだした。

話の内容が毎回早いので頭の悪い俺はついていくことができず、首をかしげながら幼女のあとをついていった。

「はいここ、私の役目はここで終わり。あとは貴方が先頭きって歩いてって」
言われるがままにドアの前に立ちそのドアを開こうとした時だった、

「木村くん!!!」

その声には聞き覚えがあった。

ぼやけてる視界の先に見覚えのある一人の女性がいた。
「う、上村さん…?」

当たっていたらしく、上村さんは目を輝かせて俺に話しかけた
「大丈夫だった?!いつまでたっても昇降口に来なかったから不安になって教室に来たら倒れてるのを見て…おどろいて…それで…」
そこから先は上村さんの泣き声で消されてしまった。

「ごめん。心配かけて」
と、一言声をかけそっと抱き締めた。
「っ…だ、大丈夫だよ!だ、だから離して…」
抱き締められたのに驚いたのか、泣き止んでくれた

そっと手を離すと
「ほんとに、心配したんだからね!」
と、いつのも上村さんに戻っていて安心した

「一つ質問いいですか?」
「うん、何でも聞いて!」
目に涙をうかべてる上村さんに
「今何時ですか?」

「え、7時だけど?」
「何時間待ってました?」
じっと上村さんを見つめてみると
「えっと30分位かなぁ?」

俺はつぶやいていた。
「じゃあ、明日俺が上村さんを待たせた30分間を取り戻させてください。」
あれ…と口を手で塞いだ。
「えっ…?」
と、上村さんも理解してなかったらしい。

「ま、まぁ帰りますか」
「え?あーうん」

互いに互いのバックを持ち、暗い教室をあとにした。

かえりみち

帰り道、上村さんとは横断歩道でいつも分かれる。

「じゃ、俺はこっちなんで」
「はーーい!また明日ねー」

上村さんがひらひらと大きく手を降っている。
俺もつられて小さく手を降った。

暗くなったいつもの帰り道は少し不気味だった。


いつもは街灯がついている公園が今日は恐ろしく暗く見えた。


「ねぇ、公園で遊ばない?」
「こ、心?なんでここに…」

いつの間にか俺の後ろに立っていた。

(あれ?髪の毛伸びた?)
「そうよ、伸びたの。あなたがなんにもしないから」
「え?どう言う意味?」
「んーまぁ、そのうちわかるわ」

心が公園に足を踏み入れたところで俺も動き出した。

パタパタと目的の遊具に走っていく。
お目当ては、

「二人乗りしましょ?」
「おっけー」

ブラコンだった。


「ひゃっはーーー!!ふぅー!たーのしーいー!」
「うおーーーーー!!!」


二人だけの公園、二人だけの世界。
このままここにいたい気もするけど、俺は絵が無性に書きたかった。

「帰るの?」
突然の質問にこぐ足を緩めた。

「まぁね、そろそろ帰らないとご飯だし」
「大丈夫だよ、遊ぼ」

上目遣いされた俺は少しうろたえた。

「ダメだよ、母さんがしんぱ「ほんとにするの?」

嫌なことを聞いてくる。

「多分ね」
ぐいっと大きくブランコをこいだ。

「うわっ!」
急に揺れたブランコにびっくりした心を見て笑顔がこぼれた。

「ほらっかっえっるっぞ!」
くいっくいっくいっとリズムをつけてこぐ。
心は黙ったままだ。

「こーころ?」
「…できない」
「何ができないって?」
「私はこの公園から出られない」

ザザザーと、ブランコを止める。
ズボンが汚れたのはよしとしよう。

「出れないって?」
俺はブランコから降りた。

※心視点です

「私はこの公園から出られない」

自分はひどい顔をしていた。
こんな簡単なことわからない自分も自分だ。

自分探し

自分探し

美術部員一人を取り巻く周囲の人による不思議な話。 ※書き初めて一年経ちました。全く終わる気配がありませんが、長々とお付き合いおねがいします。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-03

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
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  2. ぶかつ
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