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観たい映画があったので、公式HPを開いて上映している映画館を確認した。
「この場所でやっているのなら、××を誘ってみよう」と思った。

私が、映画を観るのもご飯を食べるのも遊びに行くのも誰かを誘おうとする。
以前ならひとりででかけていたのに、どうしたのだろう。

ひとりぼっちの私は、ひとりぼっちではなくなり始めていた。

そのことに気付いた私は体がむず痒くなった。
マフラーでにやけた顔を隠して、電線にとまる鳥を見る。
私が暖かく拡がっていく。私も知らない間に拡がっていた。
二羽並んだ鳥のぬくぬくとした羽にも届きそう。

手先が冷たい時間にも慣れた。
緩くなっていく私が可愛いのよ。

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  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-04

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