つめたい部屋
世界の果てで、空気の断層が、
割れる音がする
分母の数で筆を折った人たちを
ビー玉みたいな目をした人たちが
指を差して何か言いたげに見ている
生まれた瞬間、次元の戦争に勝って、
僕らは存在を勝ち取って、そこにいる
強い言葉、正しさ、ルール、
ロープみたいに巻きついて、
僕の口から生まれた言葉は
すぐに死んでしまう
死にたくなんてなかった
生きていたかった
人並みに幸福を感じて、
誰かと笑っていたかった
何を書いても遺書みたいになるから
僕は筆箱の中に宇宙船を隠しておいた
栞になっていたレシートは
洗剤、卵、レトルトカレーの羅列
生きてるの、そう、頬を赤く染めて
叫べ、叫べって言う人たちは
叫ぶ場所までは教えてくれなくて
叫べないで今日も呼吸だけ乱れていく
シナリオがあるのなら、
教えてください
沈殿していく、誰かの音符
豪華な金魚鉢の底で
知らない魚が溺れてる
ゲームのスコアにしか生きる価値を見出せないで、好きだよ、愛してる、なんて歌ってる音楽で、君に思いを伝えたことにしている
安全圏と危険地帯の境目が曖昧になって、僕の立ち位置も曖昧になって、
何も言わないで、笑ってる人が偉いはずなのに、そういう人は、地獄でしか会えないから、不条理をぶつけたらカルマだけが増えた
ボーナスタイムに対してペナルティーが多いみたいだから、生きづらい仕様になってるって教えてくれたクラスメイトに「ありがとう」のメモ書きを机の中に入れておく
青くて灰色の朝が来る時、ちゃんと息を止めないと、肺の中に、絶望が入って来る
早く、生きてしまおうって思う
そうだ、急がないで、ゆっくり、早く、生きてしまおう、
擦り剥けるような痛みは多くて
擦り切れるような感傷ばかりで
痛いと辛いを、音符と重ねて
諦めて、諦めて、ちゃんと、
生命活動を続ける、
つめたい部屋