せんせ

せんせ 貴方も同罪なんですよ

せんせ せんせ

私ね、人殺しちゃったんです

同じクラスの、かなちゃんと、りゅうたくんと、しょうこちゃん

だってね、あの人たちはいつも私に死んで、っていうんですよ、酷いですよね

だから私は言ったんです


「貴方たちの中の誰かが私をやりなさい」


だって他人に死ねなんていわれてただ死ぬだけじゃつまらないじゃないですか

私が死んでも遺書とか書かないかぎり誰も気づかないでしょう?

それでいてあの人たちはのうのうと生き続ける、なんて、理不尽極まりないっていうか

私に死ねというんだからそれ相応の対価を払ってもらおうと思いまして

そしたら案の定、3人は黙り込んだんです

お互いに目配せしながら、私の前でただ黙り込んで

そこで私すごーくいらついちゃったんですよ

この人たち本当に人をやることがどれだけ重いことか分かってないんだなって・・・

だから私がやってしまったんです、だってだって惨めで惨めで惨めで仕方なかったんです

押し付けあってそれでいて人に死ね?これが今流行のゆとりって奴なんでしょうかね

あぁせんせ そんな怯えた表情で私を見ないでください

もしかしてせんせもやられちゃうかも、なんて危惧してるんですか?

そうですよね、私やっちゃったの3人だけなんて言ってないですもんね

私の手元には包丁なんて物騒なものもあるし、血だっていっぱいついてますし

勿論他のクラスメイトだってやりましたよ、当然でしょう、人がやられそうなところを無視したんですから同罪です

・・・そう、無視したんです、親も友達もみんなみんな


せんせ あなたも


多分せんせをやったら私は私自身の罪の重さに耐えかねて潰されて死ぬでしょう

ですが後悔なんてありません だって自分を虐げてきた奴らはみんな死んでいるんですから

さぁせんせ、そろそろ怯えるなんていうお門違いな感情は抑えて私に体を差し出してください

どこを切って差し上げましょうか

頭?腕?腰?それとも胸かしら

・・・あぁそうだ

せんせは確か、授業で教えてくださいましたね

確か首に太い血管があるんでしたっけ

そこを切れば出血多量で死ねますね、よかったですねぇせんせ、最後の死に化粧ですよ

そんなへっぴり腰でどこへ逃げようというんです?今まで散々周りに頼ってきた貴方に何ができるのでしょう

絶望なんてしないでください、貴方の「大好き」な生徒が待っているんですから怖くないですよ

その後私もそっちにいっちゃうから同じなのかもしれませんが

それではせんせ、今までありがとうございました

私の長々しい話を聞いていただき心から感謝します

そして



心からの恨みをもって、貴方を殺します

せんせ

ほんとうは初めてのほんわか話を目指して書いていたんですが・・・一体どこでこじらせてしまったんでしょう、初めからでした、はい

せんせ

せんせ、うらまないでください

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted