疾走

生き急ごうとすると
必ず母さんは
止めとけって言ってた
走れば走るだけ
この道は進めるけど
疲れてしまうから
走れば走るだけ
達成感を得るけど
虚無感を得るから

今まで堕落してた分だけ
頑張りたいのに
無理をするななんて
そりゃないぜ
僕は僕でいいのかなんて
聞いたときに
仕事で疲れてる父さんは
躊躇いもなく
当たり前だと言った

何も意味のない
いつもの日常が
昔の僕を創ってくれた
誰も覚えてない
あなたの言葉が
その心を支えてくれた

久しぶりに会っても
表面的には変わらない
お前も精神的には
随分大人になってんだよな
話し聞いてたら分かるよ
一つ一つの話題が僕の
下にやって来るから
変わり果てた僕には
痛いほど分かるよ

青空は子供の頃に
見たものと今を
比べても青いままで
だけど何処となく
黒いカラスが
点々と見えてしまう
純粋無垢だった僕は
社会の海に溺れて
つまらない僕になった

最近は夢も見ない
描くことも
叶えることも
年齢的に難しくなった
愚痴も吐けずに
また酒を吐いて
暗い部屋で泣きじゃくった

人の話を聞かない
反抗的な態度が
今の僕を創ってくれた
誰も周りに居ない
あなたの言葉に
頼って終いたい

死ぬことが
許されることはない
ただ血も傷も涙も
そのまま乾燥させたまま
生きていくしかない
走り終えるしかない

疾走

疾走

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-03

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