言葉もいらない。いま、この言葉さえもだ
何にもすがらず
一切の慰めを求めず
一番醜悪だった自分の咎を
いまなお
悔いの淵から
一方的であれ、こみ上げた愛で
咎を死ぬまで背負おうと思った
許されてなくても
決別されていても
永久の隔たりを突きつけられても
罪責を逃げた
あの時と七日間だった
罪責に抉られても
愛するのは
咎の醜さ故でも
悔いの深さ故でもなかった
末期の言葉故でもない
愛したい
もう
愛されなくても
一瞥すら失っても
すべての
慰撫を拒んで
添い遂げる
どこかの
おまえの
魂に
俺に
傷は
いら
ない
二度と
ごめんな
絶たれる思いだったろうな
絶ちたい思いの最後だったろうか
あの時
愛せていなかった
醜悪な俺が
暗い淵で
おまえを拒んだかもしれない
庇っていた
なお人とおまえを傷つけた
多くをこめたおまえの
“ありがとうね”を
このうえなく
知った
何を書いても
嘘に思えた あの直後
理由へ着いた
ここで傷つく
傷に果ててもいい
だが傷跡は
断固拒む
誰も
何も
言葉もいらない
いま、この言葉さえもだ
冬を辿るよ
憶えているか? 喜んでくれた、あの呼び名を
始まりの冬
帰れなくて、 帰る。
言葉もいらない。いま、この言葉さえもだ
初七日に書いた。
故人が死の間際に何度もかけてきた電話に出なかった悔恨を書いた。
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