寧寧

毎日歩いてる路で仔猫が死んでいた
僕は非日常の違和感をまだ口に含んでいる
人身事故の影響でスケジュールが乱れる
先ずは上司に連絡を
「電車の遅延で出社が遅れます」と

今朝方世界の何処かでミサイルが打ち上げられました
僕はお昼休みにスマホでそれを知って白米を頬張った
その裏でも表でも過酷が何処にでも溢れてんだ
口の中が渇いているのはどうしてだろう

ひとつの賞賛に付加された批判
とうに見飽きたお決まりのドラマ
即席にしては大変よくできました
誉め方はこれでいいかい

もういっそ
何が起きたって
何処で起きたって
当事者にはきっと敵わない
だから
この身に降り掛かったって
此処で叫んだって
僕には何も叶わない

水色の台車に乗った政治家に
その信者とアンチが群がっている
そんな動画を挟んで本日も暇を潰した
そして胃の中に落としたあいつを
おたまでひとつ掬い上げてみる

生まれ落ちる前に刻まれた歴史
どう診ても出来の悪いレース
模索してもまだハンデがでかい
それならば今日は外食にしよう

もう一回
全部吐き出してみたって
それを並べてみたって
ちゃんと見直したってわからない
だから
ぐちゃぐちゃにしちゃって
飲み込めなくなったって
僕は一向に構わない

朝起きたその時に全てを眠らせて
動き出した瞬間にコップ一杯の魔法を
目一杯空に零してしまったんだ
漏れた滴をひとつひとつ救おうとして
僕は

僕は

なにひとつ
変えることはできない
不動の世界で
絶えず変化を繰り返して
ただひとつ
勝ち得た自我を
存分に振り回して
息絶えるその時まで

終わったら始めて
始まったら続けて
終わらないようにどうか終わりませんように
世界が
爆発したって
僕が飛び散ったって
良かったって本当に良かったって

云えますように

寧寧

寧寧

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-02

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