七色
発狂したいって、絶対に狂えないってわかってるから言えるんだ
そんなこと、
気の強そうな目で言わないで
切望はすべて退けられて
あとは
なんともしがたい
苦痛と砂だけだった
ナナイロ、なんて、
寂しいこと言わないで
嫌われないために必死に演じている私、
還暦を迎えた人たちは、
ホッとしたように私に話しかける
あっという間、
あっという間、
呪文みたいだった、
私も、
早くそっちに行きたかった
思春期を過ぎても、
二十歳を過ぎても、
健康でも、
不健康でも、
私は、生きた心地が、しなかった
私の、立ち位置は、どこにもなかった
人に居場所を与えても、
人は私の居場所ではない、
血を巡り
地を巡り
会話を交わし
交歓し、
人を愛するふりをして
みんな大好きなふりをして、
1人になればこうやって、
みんなきらいだと詩を生んでいる
本当の私はどこにいる?
知らない土地の知らない場所で
容易に好きな人を見つけても
知ってる土地の知ってる場所で
私自身を見つけることはできなかった
私は、生きた心地がしないんです
私のこと、見て、
私の笑顔を、信じてる人は、
そんな、私の、嵐なんて知らない、
血の気が引いて、
冷や汗をかいて、
敵を作らぬように
怨みを買わぬように
低く、低く、生きてる私のこと、
知らない、
いいんです、知らなくても、
わたしは、みんなきっと、大好きなんです、嫌われるのが怖いから、1人で大嫌いをつぶやくのは、安い保険みたいなものなんです、
どうぞ、お気を悪くされないで、
あなたたちは、みんな、立派で、正しくて、私のような落伍者を、落伍者と、見抜かずに、見て見ぬ振りをして、生きていてくれる、優しい人たちです、これからも、長く、長く、生きてください、私は、なるべく、早く、死にます、
好きな人は、あの人だけ
私に詩情をくれた、あの人だけ
この世で、結ばれたいのは、あの人だけ、
わたし、ずっと、病気かもしれない、
たくさん病気になったから、
1個ぐらい強いものが増えたって、
構わなかった
あの人だけ、あの人だけが好き、
そうやって詩を生んで
ナナイロ の ニジ
なんて、歌った人に、寂しさを植え付けられて、優しい人たちに、疲れ果てて、ずっと、きっと、詩を生んだ日から、私はずっと、ひとりきりだった
ひとりきり、を、はだかのまま、
だきしめる、ずっと、はて、まで、
七色