新幹線

わたしのご機嫌を取るために
チョコレートを口の中に入れる

すぐに出来上がった口内炎は
わたしをますます不機嫌にさせた

かなしいできごとは
新幹線の窓からでもよく見える

偉人は
そこら辺に寝そべったまま
わたしの顔を見ていた

好きな人となんでもいいから
おしゃべりがしたい
ペリエの瓶の色のこと
飲んだコーヒーの苦さのこと
雑踏についての不安感

なんでもいいから
中身のないおしゃべりがしたい

行きの新幹線の中で
私は深く深く眠っていた

隣の背広の肘が当たるのが嫌で
縮こまって深く眠っていた

汗にまみれて目覚めた時
わたしはこの国の首都にいた

新幹線

新幹線

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-27

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