風景

知らない街が誰かにとっては、
見慣れた景色であることは、
永遠に知らない誰かにと交わることなく死んでいくことを教えてくる

私は、知っていた
林を流れる冷たくて可愛い小川も
畑の中でもくもく上がる煙も
田んぼの上を滑る白い空気も
霞んで並ぶ遠くの山も

よく知っていた

それでもこの風景のことは
なにも知らなかった

知らないあなたのことも
知らないまま死んでいく

風景

風景

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-26

Copyrighted
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