サウナ

噂の女

私が男に金を貢がせているという噂が流れていると知った

私の前では誰もそのことには触れないので反論する機会もない

真実が伝わり、噂は消えた

ウワサを流した人も、それが事実無根だと弁明してくれた人もサウナ仲間である

サウナという密室

本人は蚊帳の外

尊敬

誰かがサウナを出て、水風呂に浸かっている間、

その人の悪口を早口で機関銃のようにしゃべりまくる。

で、その人が戻ってきた途端にコロっと話題を変える。

その絶妙な変わり身の早さは尊敬に値する?

気遣い

背中を流してあげようか言うと、すでにやってもらったからいいと言う。

それから10分ほどして、背中を流してくれと言う。

さっき背中を流してくれた人では物足りなかったが、悪いのでその人が帰るまで待っていたと言う。

恥じらい

今まで、銭湯で倒れて救急車を呼んだという場面に遭遇したことが3度ほどある。

いずれも、男性客。

そのたびに、サウナ仲間で

「もし、倒れたらパンツだけははかせてあげようね」

と確認しあう。

とりあえず、まだ恥じらいの気持ちがあるということで。

刺青

まだ20歳になっていないのではないかと思われる女性。

小柄で、華奢な裸体。

子どもっぽい笑顔。

背中一面に花の入れ墨。

「入れ墨のある方は入浴をお断りします」

という一文は無視して入浴している。

彼女が来たのはその1度だけ。

「あっらー、本物の入れ墨だね。
綺麗なもんだねぇー」

というのが、サウナ仲間の感想でした。

常連さん

いつも利用している銭湯のサウナのボイラーが壊れた

仕方がないので、はじめての銭湯へ行く

桶と椅子を持ち、キョロキョロしながら場所を決める

あのね、そこはシャワーの出が良くないので
こちらに座った方がいいわよ

早速、指導が入る?

サウナに入ると

今日は温度が低めで汗が出にくい
そこから熱風がくるから、
あなた、こちらに座って!

サウナの常連さんに仕切られる?

サウナ内に背中に登り龍ならぬ、登り鯉の刺青をしたお姉さんがいて、

あなた、ここは初めて?と話しかけられる

それをきっかけにサウナ内で話に花が咲く

隣に座った初めて会った人に背中の垢すりをしてもらった

お返しに塩入りボディーソープで背中をマッサージをしてあげて喜ばれる

今はよそものの私だけど、こうやって少しずつ馴染んで常連さんと呼ばれるようになるんだろうなぁ

それにしても
初日からかなり馴染んだ感はある?

ゆっくり

たまには、誰とも話をしないでゆっくり、サウナへ入りたい。

そんなときには、顔にタオルを被せて黙っている。

しかし、

「あら、今日はどうしたの?息苦しいの?体調悪いの?」

と、質問責めにあい、ゆっくりできないときもある。

ピチピチ

若い女の子が2、3人で来ることがたまにある。

サウナ仲間うちで、

「やっぱり、若い子の裸体はいいねー。
今時の子は足が長くて、おっぱいも大きいしねぇ。
ひゃっひゃっひゃっ」

という会話が交わされる。

なにも若い女の子好きは、おじさんたちばかりではない。

仲間

わざわざ自宅まで訪ね、

「サウナ仲間の○○さんは要注意人物なので深入りしないように」と

他のサウナ仲間に伝えに行く。

忠告なのか告げ口なのか。

親切なのかお節介なのか。

それでも、やっぱりみんなサウナ仲間?

どちら派?

汗を流し垢も落として、すっきり爽やか気分爽快!

だが、しかしその後に苦悩が待っていた。

替えのパンツを忘れてきた。

選択の道は二つしかない。

ノーパンかはいてきたパンツを裏返しにして使うか。

サウナ仲間でも意見の分かれるところ。

指導

こどもの日、小学生以下は銭湯料金が無料。

銭湯が初めてというこどもたちが友達同士でやってくる。

年に一度、サウナ仲間が「銭湯での心得」を指導する日でもある。

湯船に入る前に体を洗え、騒ぐな、走るな、泳ぐなetc.

自分たちの若いお母さんや優しいおばあちゃんとは違う人種に出会った子供たち。

それでも素直にいうことを聞くのは、こわいから?

石鹸をつけて、たわしでゴシゴシやってるサウナ仲間を見て、

「すごいねぇー!」
「つよいねぇー!」

と、ヒソヒソ話してたもの。

マッサージ

友人と温泉へ行った。

「アロエ入り塩」が置いてあったので、それで背中をマッサージ。

すごく気持ちいい~、プロのエステシャンのようと誉められる。

日々、サウナ仲間と互いの背中をマッサージしている成果が出たか。

サウナ仲間に報告するも、

「リラちゃん、まだまだっ!」と言われる。

まだまだって・・・・。

何を目指しているのか? 

最終地点はあるのだろうか?

よく分からないけれど、今日もお背中マッサージいたします。

明暗

サウナ室の電球が切れ、新しいものに変わった。

今までよりかなり明るい。

サウナ仲間うちで評判が悪い。

「こんなスポットライトを浴びたって、なにも芸はできません」

「明るすぎてシミがひとつ増えたような気がする」

「以前の明るさの方がシワが目立たなかった」

などと勝手な理由をつけ、元の明るさに戻させたことはいうまでもありません。

ある日の会話

「おっぱいを持ち上げて、その下をあかすりや石鹸で洗うというのを一度、経験してみたい」

「ああ、たなたのその胸じゃ無理よねー」

「でも、そのうちお腹の肉を持ち上げて、
お股を洗うことができるようになるわよ!
あっはっはっ」

仲間の一人が痔の手術をした。

本人は知られたくなかっただろうが、サウナ仲間には知れ渡る。

痔で悩んでいた別の仲間が、手術を受けた仲間のところへ話しを聞きに行き、一緒に病院へ行くことになった。

うわさ話もたまには役に立つ。

同調

子どもが若くして結婚したので、夫婦としてのこれから先が長すぎる。

離婚の確率も高いような気がして心配。

とサウナ仲間がいうのを

「これは縁だから!
先のことを考えていたら生きていけないって!」

と一言。

みんなで「そうそう」とうなづく。

話の本質

サウナ内のテレビで「石原裕次郎17回忌法要」の中継を見ながら、

「死んで17年も経つのにみんなに覚えられていてすごいね」

というところから話しは始まった。

美空ひばりもそうだしねというところまではまだ繋がりがある。

やっぱり有名にならなくちゃね、一曲ヒットを飛ばすだけで違う。

ちあきなおみ、山口百恵も活動してなくてもお金が入ってくるらしいよ。

そうそう、ヒット曲だよねぇ。

一曲でいいからさ。

みんな、今日から歌の特訓だよ! 

頑張ってヒット曲だよ!

と、だんだん話しはズレていく。

締めのお言葉

65歳になるスナックの現役ママ。

久々にサウナへ来たと思ったら、とてもお痩せになっていた。

当然、みんなから「どうしたの」「何があったの」と質問責め。

「元カレが危篤だと連絡来てさ。付き添ってたの。

元カレと言っても当時は不倫だったけどね」

その話で1時間。

「いろいろあるねぇ、男と女は。

年齢に関係なく、死ぬまでね」

サウナ仲間の締めのお言葉。

言いたい放題

サウナ内のテレビで兄弟デュオ狩○が熱唱中。

それを見ていたサウナ仲間たちがしゃべりだした。

「ホントにこの弟って昔から不細工だよね」

「年取ってますます不細工になったわ」

「人間ってさ、不細工でもその人の人生が反映して味の
 ある顔になるじゃない。でも、この人ってそれがないよね」

「そうそう、ただの不細工」

なぜ、そこまで言い切れるのだろう。

小悪魔たち

サウナ内のテレビで懐メロ特集をやっていた。

奥○チヨが「恋の奴隷」を歌っている。

50歳を過ぎているだろうと思われるが、

小悪魔と呼ばれていた当時の容姿そのままだ。

司会者が、

「今でも昔と全く変わらずお美しい。
奥○さんは毎朝、冷水を浴びるそうです」

と言うのを聞いて、

サウナ仲間が一斉にしゃべりだす。

「私も毎朝、水で顔を洗ってる!」

「あたしもさ!」

昔堅気

サウナ内のテレビでトンネルズが出演している番組を見ていて、常連さんたちの
会話が始まった。

「この、石橋って男、大っきらいだ」

「なんで?」

「だってさ、この男、結婚二回してるでしょ。
最初の結婚をする前から今の奥さんの鈴木保奈美と付き合ってたんだよ。
だから、最初の人と結婚して、子供できてすぐに離婚したでしょう。
そういうの、ホントに嫌なんだわ」

「そうなんだー」

「トキオの山口君も大好きだったのさ。可愛いからね。
氷川のファンだったけど、山口君のファンになったんだよ。
でも、この間、ずっと同棲してた女性と子供ができて結婚したでしょ。
ホントにいやだわ! 同棲なんてねぇー。また、氷川君のファンに戻ったよ」

「氷川も同棲してたりして・・・」

「いやー、それならもうファンやめるさ。
元々は山本譲二のファンだからいいよ」

「ああ、山本譲二は結婚してるからね」

「そうそう、ファンの人と結婚したからいいよ」

不倫も二回目の結婚も同棲もダメ。

なかなか厳しいサウナ仲間。

聞くに聞けない

目のクリッとした童顔は昔と変わらない。

多分、彼女は同じ高校の先輩だと思う。

彼女の名前は当時から知らないが、バスケ部のK先輩と
付き合っていて、卒業まで登下校は常に二人一緒だったので顔を覚えている。

若い体育教師が「高校時代に付き合っていて、結婚して
長続きしたカップルはいない」と言ったことに対して、

「そんなことはない! オレたちが証明してみせる」

とK先輩が反論したという話は有名だ。

その後、二人が結婚したのかどうかはわからない。

今、目の前にいるので聞いてみようか。

でも、人違いかもしれないし、結婚しなかったかもしれないし・・・。

とりあえず、周りの人に聞いてみる。

「高校の先輩のような気がするんだけど、彼女の名前は何ていうの?」

「Tさんっていうのよ」

「そうですか・・・。結婚されてるのかなぁ」

「結婚してた。
というかねぇ・・・若い時にご主人を交通事故で亡くしたらしいよ。
名字はご主人の姓なのか旧姓なのかわかんないけど」

亡くなったのはK先輩なのか、違うのか。

5時から女

彼女はいつも5時にやってくるので

「5時から女」と呼ばれている。

サウナの小窓から洗い場を眺めて、細かくチェック。

身体を洗わず、湯船に入った。
ああ、石鹸の泡が付いたままだ、しっかり落とせ。
髪の毛が湯船につかってる、髪を縛れ。
ずいぶん、太った締りのない身体をしているets

それがまた、キンキンと甲高い声で。

自分が5時から女と呼ばれていることを知り激怒!

以後、4時から来るようになった。

私たちは密かに「4時から女」と呼んでいる。

似てる人

サウナで隣に座った人の視線を感じる。

5分砂時計の砂が全部落ちた時、
「Kグリーンホテルに入ってる中華料理店のママ?」と聞かれた~!

よく似てるというので、「その方は日本人ですか?」と聞いたら

「中国人だと思う。あっ、綺麗な人だよ」と取ってつけたようにいうけどさ。

私のスッピンのどこをどうみても中国人には見えないと思うけどなぁ。

平均年齢76歳の会話

お酒は飲まないという話からの「スナック、モーテル、カラオケには行ったことがない」「モーテルねぇ。家族が多い人が利用したりするみたいよ」「昔、あそこの交差点にモーテルあって、ゲートホールを終えたあと、いつもそこを利用してた爺さんと婆さんいたんだわ。今そのモーテル無くなって、イオンが建った」

モーテルって、久しぶりに聞きましたよ!今はもう死語⁉️

昔、首にできたイボを皮膚科でとってもらったという話からの「どこの皮膚科?」「今はもうない」「ああ、あそこね。愛人がいた先生のところでしょ。あの先生は立派だったよ。最後まで愛人の面倒をみたからね」「そうそう、でも、奥さんはかわいそうだった。だって、奥さんの目の前で愛人と手を繋いでるんだよ」「男はさ、嫉妬させたいんだわ。私も若い頃、旦那が祭りの太鼓を見に来いとしつこくて。子供を背負って行ってみたら、女と手を繋いでいた。帰ってから、なんなのさと言ったら、嫉妬させたかったと」

番台のパートのおばちゃんが客に対する態度が悪いという話からの「でも、あの人は悪い人じゃないんだよ。母親の面倒をみて、結局、独身のままだけと優しいよ」「兄弟は?」「兄がいるけど、二人の子持ちの女性と結婚して東京に住んでるから」「そりゃ、兄は母親を引き取れないね」「うちの母さんもね、弟夫婦と暮らしていたけど、最後は施設に入ったよ。弟の嫁が追い出した。施設に移るとき、今までお世話になったね、ありがとうといって母さんは弟の嫁に百万あげた」「そんな嫁に渡して、その百万は生きた金となったかな」「そうなんだよねー。嫁はゴミだめからもらえるとよくいうでしょ。でも、弟の嫁は裕福な家の出でお金には困っていないからねぇ」

嫁はゴミだめからもらえというのは初めて聞きました笑笑

銀幕スター

「裕次郎の奥さん、全然、綺麗だと思わない」
「そうそう、吉永小百合も大したことない」
「若尾文子、八千草薫、京マチ子は綺麗だった」「浅岡ルリ子も綺麗だったよね。あの人は裕次郎のことが好きだったと思う」
「小林旭と津川と噂あったでしょ」
「いや、でも、見てたら裕次郎のことが好きなんだとわかったよ」

いつ、どこで見てたんだろう?
今どきのアイドル違って、昔の女優は銀幕のスターで私生活なんてほとんど垣間見えなかっただろうに。

夫婦の会話

「旦那がね、ここにあった1万円使ったか?というからさ。あんたと私しかいないんだから、私が使ったに決まってるでしょう!食費なんだから、使って当たり前。これを使わなかったら、どうするのさ?隣の親父に金もらえってか?」と言ってやったという。

夫婦を長くやってるとみんなこういう会話になるのでしょうか....。

慣れとは恐ろしいものである

水風呂の前で倒れた人がいた。

頭を怪我して少し流血していた。

サウナ1時間、薬湯湯1時間入ったあとだったらしい。

何度か倒れているらしく、みんな慣れたもので?救急車も呼ばない。

貧血という事で40分ぐらいその場に横になってた。

その後、元気になって髪を洗って(ケガしてるのに!)湯船に浸かって帰って行った。

経営者も倒れた人も周りの人も、本当にこれでいいのか⁉︎

消息(サウナ仲間)Hさん

Hさんはそこそこお金があり立派な一軒家に住むカラオケ大好き明るく元気な専業主婦。
旦那さんが亡くなったあと激痩せ。
実は同居していた長男がアルコールが入ると旦那さんに暴力を振るい、旦那さんが亡くなったあとはHさんに暴力を振るうように。
その長男が酔って家の中で階段から落ちて寝たきりの重傷を負い病院生活に。
その当時、サウナ仲間はある意味、良かったでしょうと噂していた。

結婚していた次男が母親一人では大変だろうと、住んでいたマンションを売り、離婚して実家に戻ってきた。
最初は優しく接していてくれていたのが豹変。
長男よりひどい暴力とお金の無心。
ついにHさんは家を出て、高額有料ホームに入居。

今は彼氏もできて好きなカラオケに通う毎日で楽しく過ごしているとのことです。
めでたし、めでたし。

温泉に浸かる猿軍団

サウナの白熱灯が壁から外れて電線がむき出しになった。

危険なのでサウナ室を一時使用禁止にしますという経営者に、常連さんたちがサウナに入りたいものだから、今すぐ業者を呼んでと直訴。

業者の方は男性なので、タオルを巻いて脱衣場にいるか、薬湯風呂で待機することに。
そのまま洗い場に素っ裸で残った人が2名いた。

そして、狭い薬湯風呂に12名ほど。
お湯に浸かる常連さん(私も含む)が、よくニュースで見かける猿が温泉に浸かっている映像とタブりましたよ〜

現役サウナ女子

小柄で可愛らしい元気なおばあちゃん。

お年を聞いたらなんと90歳!

電気風呂、薬湯、ジェット風呂に浸かり、サウナにも4回入る。

若い頃からサウナに入っているのか聞いてみた。
60歳から入り始めたとのこと。
それにしてもサウナ歴30年。
現役のサウナ女子?

私が90歳になったなら、サウナ歴65年になる。
人生の半分以上はサウナと共に。
頑張れるかしらん。

夫婦愛

晩ごはんのおかずの話からの

「ごはんを作るのが本当にめんどくさい。一人になったら、出来合い買って済ませるよ」

「私も。早く旦那に死んで欲しいけど、なかなか死なないんだよね」

「そうそう、葬儀場のチラシが入ってきたから、どのタイプでやってほしい?ときいたのよ」

「そういうこというと、逆に長生きするよ」

「そうなの!本当は長生きして欲しいからわざと言ってるの」

「わかるわ〜。私もそうなの」

ほめられた?

「すごく若く見える!うちの娘と同じぐらいかと思った」という一言からの

「え?娘さんはいくつなの?」

「51歳」

「あら〜、私は60だから」

「見えない!若々しいわ。誉めたから何かもらえるかしら?お水でいいわよ」

「ありがとう。明日、家の水道水をペットボトルに入れて持ってくるわ」

「気を使わなくていいから〜。お世辞で言ってるんだから!」

遠慮無用

背中を洗ってあげると言われ、遠慮する。

いつも洗ってもらってばかりで、私が洗ってあげようとするともう、他の人にやってもらった言われてしまう。

遠慮しないで〜と言われ、もう一度、お断りする。

いいから、いいから!と半ば強引に垢擦りをしてくれた。

あら〜、こんなにたくさん垢が出てるよ!
こんなんでよく断ったね!

と、しかられる。

泡女

みんなから泡女と呼ばれている年配の女性

もちろん、本人はそう呼ばれていることを知らない

サウナではレジ袋を敷いて座る

油分がなくなってしまうのではないかと心配になるほど石鹸で身体を何度も洗う

ものすごい泡の量 

お風呂場の入り口近くの一番端に座っているので、
出入りする人たちが泡で滑って転びそうになる

周りの人が桶の水でそれらの泡を流す

何をする!

と怒る

みんな迷惑しているから
滑ると危ないですから
泡をキチンと流してください

注意をすると

うるさい!
ババァ〜!

自分よりかなり年下だろうが、
相手構わずババァ呼ばわりをする

時々、ババアにババアと言われたくない
とケンカをする人もいる

サウナの小窓から洗い場を眺めていた
常連さんがふと呟いた

アライグマの阿波踊り

泡おんなをみていて
思い浮かんだのかなぁ

Kちゃん

サウナのドアが空いて入ってきたのは
20代後半の細くて綺麗な女性

肩から肘にかけて両腕にタトゥー

隣に座ったので、ついつい目がいってしまう

丸い大きな目が印象的な鯉の図柄

一度出て、今度は私の逆側に座る

タトゥーの図柄は龍

右に登り鯉
左に昇り竜

いつも笑顔で礼儀正しいKちゃん

いつしか私たち常連さんたちとも仲良しに

旦那さんと一緒に連れ立って銭湯に来る

男風呂から

上がるぞー

と声がかかり

はーい

とKちゃんが返事をする

お先でーす!

と私たちに挨拶をして帰っていく

時々思うのよね

Kちゃんの代わりに
はーい
上がるよー

男風呂に向かって言ってみたい、なんてね

先日、JR駅で

こんにちは!
分かりますか〜?
サウナで...

Kちゃんに声をかけられた

ひゃー 
サウナ以外で初めて会った!

マスクをしているし、裸じゃないのに
よくわかったね!

Kちゃん
声をかけてくれて、ありがとう

ポスターで捻挫

サウナに入ってきた常連さんが足を引きずっている

旦那のせいで足を挫いたのよ〜

旦那さんのせいって...
どうしたの?

玄関にね
ファイターズのポスターを貼っていたから
それを剥がそうとして台から落ちたの

ホントに腹立つわぁ〜
前にも同じことをしたから怒ったのよ

うちは映画館でも銭湯でもないんだから、
玄関にポスターを貼ったらダメだって

隣に座っているSさんが
自宅の玄関に純烈さんのポスターを
貼っているのを私は知っている

チラッと横目で見ると、
ギョッとした顔をした彼女と
目が合った

あなたはいいんですよ
ご自分の家ですから、
お好きなところに貼って下さいね〜

心の声をSさんに目で伝える

う ん、わかった
ありがとう

無言で頷くSさん

サウナにて
以心伝心
拈華微笑

裸の付き合い

初めて行ったサウナも、ここのところ続けて通い、
今回で10回目 
常連さんたちとも仲良くなったとはいえ、
まだまだ色々とお勉強をさせていただいています

挨拶はしないし、他人のことをジロジロ見るし
ホント、あの人、感じ悪いわっ!

ほら、今入ってきたあの人
こんにちはおばさん
誰にでもこんにちは、こんにちはって挨拶する
ああいう人、ウザいわー

挨拶をしてもしなくても嫌われる

裸の付き合いとはいえ

丁度良いご挨拶と距離感が大切

浮気

ここのところ違うサウナに通っていたが、
久しぶりにいつものサウナへ

聞いたわよ!
他のサウナに行ってたんだって?

なに、浮気してるのよ〜

みんなであなたの行ってるサウナへ
押しかけようかと話していたのよ

まるで浮気がばれて責められているような?

あなたが来ない間にTさん事件があってね
といつもの会話が始まる

我が家に帰ってホッとするところもあるが、
たまには別宅にも行きたい

浮気する人の気持ちがわかります〜

有線放送

前回初めて行った銭湯
今回は2度目 

夕食どきのせいかお客さんが少ない

洗い場は私ひとり

サウナへ入ると先客がひとり 
目を閉じて横になっている

常連さんも来ていないようで会話をする人もいなく静か

私も目を閉じる

有線から静かに流れる曲

演歌?懐メロ?
とても心地よくて癒される
この曲、なんだったかなぁ〜 

ウトウトしかけてハッと気付く!

ここの銭湯は有線はかけていないはず

聞き耳を立てる

やっぱり!

横になっている女性の鼻歌〜

たかが靴下、されど靴下

玄関で靴を脱いだら
片方の靴下も一緒に脱げた

まぁ、どうせ脱衣場で脱ぐのだから

片足だけ裸足で
ロッカーに靴を入れようとしたとき

強い視線を感じた

メガネをかけた優しそうなおじさんが
ジッと私をみている

えっ?
ナニ⁉︎

その目線は私の足元に

何となく気まずい雰囲気に
とりあえず靴下を履く

ああ、よかった!
家から片方だけ裸足できたのかと思った
そんな人が一人でお風呂に来て
大丈夫なのかと
心配したよ

私のズボラさが
よそ様にご心配をおかけする
ことになるとは
申し訳ございませんでした

そして
ご心配いただきありがとうございました

よくご存知で

3時間、たっぷり汗を流してスッキリ

お先に上がります〜

お疲れさま〜
気をつけて帰ってね

はーい、ありがとう
冷えてツルツル路面だから
みんなも転ばないように気をつけて帰ってね

転ばないようにと他人を心配する本人が
派手に転ぶというあなたこそ気をつけてよ!

みんな笑いながら頷いている

さすが、サウナ仲間
よくご存知で

気をつけて帰ります〜

世界旅行

ジャグジー風呂のお湯の色が毎日変わる

黄色
オレンジ色
ピンク色etc

今日は紫色だった

説明には

本日の湯イギリス

世界湯めぐりの旅
その国をイメージしたお湯を
お楽しみください

と書いてある

世界湯めぐりの旅と言われてもね〜

イギリスに行ってきたけど、
大したことなかったと言ったら、
家族からついにボケたかと言われちゃった

うちの旦那に世界湯めぐりの旅の話をしたら、
安上がりでいいな俺も行くって
二人で念願の世界一周旅行よ〜

こっそり、番台のお姉さんに聞いたのよ
明日はフランスらしいわよ
私たちパリジェンヌよ〜

サウナの常連さんたちは楽しみ上手

明日のサウナでの挨拶は
ボンジュール!

サウナ

サウナ

サ道歴35年のサウナ女子 サウナでの出来事を綴ったエッセイ

  • 随筆・エッセイ
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2017-11-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 噂の女
  2. 尊敬
  3. 気遣い
  4. 恥じらい
  5. 刺青
  6. 常連さん
  7. ゆっくり
  8. ピチピチ
  9. 仲間
  10. どちら派?
  11. 指導
  12. マッサージ
  13. 明暗
  14. ある日の会話
  15. 同調
  16. 話の本質
  17. 締めのお言葉
  18. 言いたい放題
  19. 小悪魔たち
  20. 昔堅気
  21. 聞くに聞けない
  22. 5時から女
  23. 似てる人
  24. 平均年齢76歳の会話
  25. 銀幕スター
  26. 夫婦の会話
  27. 慣れとは恐ろしいものである
  28. 消息(サウナ仲間)Hさん
  29. 温泉に浸かる猿軍団
  30. 現役サウナ女子
  31. 夫婦愛
  32. ほめられた?
  33. 遠慮無用
  34. 泡女
  35. Kちゃん
  36. ポスターで捻挫
  37. 裸の付き合い
  38. 浮気
  39. 有線放送
  40. たかが靴下、されど靴下
  41. よくご存知で
  42. 世界旅行