目が覚めると

うつ

眼が覚めると、天井に空いたこぶし大ほどの穴の奥に何やら黒いものが一定の間隔で通り過ぎていくのが目に入った。私は、自分の家には天井に穴などなく、ましてや天井裏から生き物が住んでいる気配などを一切も感じたことがなかったことを忘れてその黒い生き物のうごめく姿に見入っていた。一瞬、何か大きな異質なものが通りすぎた気がした。それが何かわかる前にその得体も知れないものがちょうど木製の粗末なすのこベットの上で仰向けになって寝ている私の顔の上に落ちた。私は、驚いて目が覚めた。夢とうつつを区別し難い状況が時間にして数秒経ったのちに、それが夢であったとわかった。乱れた布団から起き上がった私は、さっきのそれが決して顔からどけて追い払うことができない頭の中に居ついているものだということに気づき、それはここ数年で一段と大きくなっていること気づいた。

目が覚めると

目が覚めると

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-23

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