悲しみの青い花7

それから何時間かして、僕は両親に『おはよう』と言いに行った。二人とももう起きていた。そうしていつもの休日通り、少し遅い朝食が始まった。
 母はクラムチャウダースープとソーゼージやら卵焼きやらを料理していた。父は相変わらず新聞を読んでいた。僕は父に話し掛けた。
「お父さん、お父さんも中学とか高校の頃、恋をしたことがある?」
 そう言うと父は新聞から目を離していった。
「ああ、あったね。そんなことを聞くってことは陽二も恋でもしたのかい?」
「うん。少しね。まだ知り合ったばかりだけど」
「青春はすぐに過ぎてしまうよ。気を付けないとね。人の一生で学生時代なんてあっという間だ。だから告白するのなら、早くした方がいい。相手の子もきっと陽二のことを好きでいてくれるよ」
「そうかなあ」
「ああ、きっとそうさ。お母さんには内緒だけどね、父さんも学生時代には青春を楽しんでいたよ。可愛いガールフレンドとね」
 そこで料理が来た。僕と父は話すのをやめて、食事を始めた。
 僕はその日、朝食を食べた後、外に出かけた。
 空は青かった。透き通るようにきれいに青かった。そうして僕は咲の植えた青い花を思い出した。あれはきれいな花だった。僕の人生であれほどきれいな花を僕は見たことが無かった。そうして僕は何もすることも無く、近所を散歩した。風は冷たかった。コートとマフラーを着てくれば良かったと僕は少し後悔した。そうして僕は来年になったら、咲に告白することを決めたのだった。


 そうして次の月曜も僕は学校に行き、咲と話した。彼女は可愛かった。そうして話もおもしろかった。彼女はこんなことを言った。
「陽二君って次男なの?二って付いているから」
「いや、長男なんだ。他に弟とか妹も居ないし・・・・なんで陽二って名づけたんだろうね?」
「私は長女なの。でも咲って言う名前は好きよ。陽二君と同じくらい」
「え・・・・」
「嘘。冗談」
 そんな風にして僕達の日々は過ぎていった。僕は人生でこんなにも幸福な日々があることを知った。そうして咲を知った。僕はずっとこのまま咲と一緒に居れることを望んでいた。夢で彼女がもう居なくなってしまうということをすっかり忘れたままで・・・・・

悲しみの青い花7

悲しみの青い花7

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-20

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