熱情の墓場
遺言
わたし、
おかしいの、
あたまがね、
いいたいこと、
ぜんぶ、はこに、つめて、
いっしょうけんめい、
いいこ
を、やってたの
それ、わたしの、しごとだったの、
いつも、いつも、いっしょうけんめい
なの、
そしたら、
あたま、
おかしくなってしまったの
すらっしゅ、
ぴりおど、
こんま、
こんま、
おかしくなった、わたしのこと、
みんな、きゅうくつって
みんな、きもちわるいって
みんな、いたいって
いうのよ、
だから、
そうなんだっておもった
ここから、
すこしさき、
わたしの、すきなひと、いるの、
すきなひと、も、きっと、
きゅうくつって、おもってる
きもちわるいって、おもってる
でも、すきなの、
ずっと、すきなの、
しんじゃいたいくらい、
すきなの、すきなの、すきなの、
ごめんね、
あたまが、
ずっと、おかしいから、わたし、
もう、ねるね、
おやすみなさい、
だいすき、です、
熱情の墓場
かつては、
あなたが私を抱きしめてくれれば
私の中のあらゆる病、あらゆる不吉が、綺麗さっぱりなくなって、綺麗さっぱり浄化され
ガラス細工と宝石で出来た
ハッピーエンドの上に立てるって
思っていた
だけど今、
私の体は私からすっかり離れてしまった
私は私からすっかり離れてしまった
あなたが私を抱きしめても
あなたの体温がわからなくなってしまった
あなたの心音が伝わらなくなってしまった
すっかり離れてしまった
すっかりわからなくなってしまった
あなたへの気持ちは、ただの、手掛かりで、私という人物が、この紙の上からいなくなってしまったことで、
ハッピーエンドごと無くなった
あなたのこともわからなくなった
全部全部わからない
全部全部遠くなる
さようなら、
もう、期待も、希望も、
疲れ果てて、しまいました
花束の詩
厭と嫌いに満ちた今日は
かわいいかわいいと持て囃される
厭な奴だと
烏は嗤う
わたしは世界で一番厭な奴だよ
毎日これだけ
死が溢れているというのに、
わたしは、これ以上、
誰の死を望むというのだろうか
好きな花以外全部枯れ果てた世界で
好きな花とだけ抱き合って生きていたい
好きな花以外は枯れちゃっていいんだよ
わたしじゃないよ
世界がそう言うんじゃないか
挨拶みたいに、いつも、いつも
アイシアウ
そんな戯言と砂糖水の違いについて
真面目なあの子は机に向かって考えているね
そんなあの子が可愛いから
わたしは窓から花瓶を投げたんだ
わたしじゃないよ
世界がそうするんじゃないか
大事な人と手を繋ぐように、
いつも、いつも、
「あなたが生きていて嬉しいわ」
花瓶がコンクリートの上で弾けた時
わたしは心の底から微笑んだの
熱情の墓場