髪を断つ

 失恋したら髪型を変える。
 この行動の意味は、今までの私にわかるものではなかった。わからないなりにした想像はオカルトチックで不気味なものだ。
 
 きっと、相手に届かない想いの分だけ、髪が伸びるのだ。少しずつ、少しずつ。手を伸ばしても届かない分だけ。ほんの少しでも。触れてもわからぬような毛先のほんの一撫ででもいいから。触れてみたくて。終わらせたくなくて。
 一本でもこの想いをここに縛り付けておきたくて。一本でも貴方の心を絡め取れればと。
 
 その髪を切るというのは、そういうことなのだ。
 
 首筋の寒くなった頭にシャワーを当てる。真新しい毛先から水が滴った。貴方への想いを断った毛先だから、なんだか血が流れ出しているように見えて。その痛みに任せて少しだけ泣いた。

髪を断つ

そろそろ髪を切ろうと思います。

髪を断つ

二作目です。自分の作品のカテゴリがよくわかっていません。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-17

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