アウフヘーベン

 生きている限り 生を受けた限り
 あなたは無謬ではいられない
 低く高いところから見下ろして
 自分だけは汚れないようにと身動きもせず
 今ここにいることからも逃げ出して
 鎖を断ち切ると息巻いて
 結局は時代の軛に繋がれている
 そんなあなたを拒絶できるのはあなただけ
 そろそろ自分の存在を認めてあげなさい
 鼠色の汚れた姿を見つめてあげるのです

 生きている限り 生を受けた限り
 あなたは無謬ではいられない
 でも聖人君子にはなりたかったなあ

アウフヘーベン

アウフヘーベン

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-16

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