恋文
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あいも変わらず
あなたが好きです
最近のわたしは、偶にしか、生き返りません
あなたの目に、入れないまま、
願い事は、全部、全部、叶わないまま、
誰かの気まぐれ
誰かの不機嫌
誰かの正論
全部、全部、わたしを、串刺しにします
だから、殆どの日々を、死んで、過ごすことに、決めました
あなたは、もう、わたしを、必要としない、
あなたは、もう、わたしを、心配したりしない、
あなたは、最初から、わたしを、気に掛けたり、していなかった
わかっていた?
わかっていた?
ほんとうに?
ほんとうに?
どこにも、放出できない、わたしの、黒々とした、何か、が、わたしの、喉を、締め付けて、
どこにも、吐き出せない、わたしの、
切々とした、何か、が、わたしの、夢を、惨殺する
わたしが、泣いても、笑っても、生きても、死んでも、自分のこと、たくさんたくさん、痛め付けても、
あなたは、わたしのこと、すっかり、忘れて、暮らしている
あなたは、わたしのこと、すっかり、いらなくなって、暮らしている
あなたが、あなたの、大事な人を、抱き締めて、わたしのこと、全部、忘れて、幸せに、幸せに、暮らしていくことで、
わたしは、全部を、諦めて、
二度と、希望になんか、騙されないで、弱いまま、弱いまま、諦めて、諦めて、絶望的な、微笑みを、浮かべて、浮かべて、
寿命まで、走って、走って、早く、早く、終わりますように、って、
二度と、生きたりしませんように、二度と、あなたを、好きになりませんように、
祈って、願って、叫んで、泣いて、
自分の火で自分のこと、燃やせるようになるまで、薬にもなれず、毒にもなれず、水にも、空気にも、なれないで、死んだまま、生きていくんだ
あいも変わらず
あなたが好きです
だから、わたし、地獄にいるの
あなたのことが、好きだから、ずっとずっと、死に続けるの
あなたのことが、好きだから、ずっとずっと、血を吐いてるの
ファンレター
君の生き方は祈りだった
置き場所のなくなった心とか
どこにも行けなくなった言葉とか
骨董屋のように陳列して
君はその奥に座っている
生きたり、死んだり、生まれ変わって、また会ったり、そういうサイクルに飽きちゃったり、
僕は、本当に、忙しく過ごしている
たまに、君の生き方を思い出すけれども、そういうのって、案外うまくいかないんだったね
本屋でしか、息を吸えない君のこと、
僕は、あまり、理解できなかった
戦わない君のこと、僕は、守りたいって、一時期思ったりもした、
でも、人が人を守るって、どういうことなのか、ついぞ、僕は理解できなかった、そのまま、僕は、年老いて、眠ることになった
僕は、たぶん、君になりたかったんだと思う
そう言ってみたら、君は寂しそうに笑って、僕のこと、やんわり止めていたね
君は、行き場のないものばかり、箱に詰めて、僕に黙って、どこかへ行ってしまったね
雪に混じって、君の声だけ、聞こえる時が、あるけれど、
もう、君は、僕にわかるようには、話してくれないね
もう、君は、地上の言語を、捨ててしまったね
僕は、相変わらず、傷付けて、傷付いて、そういう、人間ごっこばかりで、過ごしているよ
この間は、白波に、君の腕を見つけたよ、手を振ったけれど、君は、沖まで引き摺られて、僕のこと、わからなかったみたいだね
相変わらず、1日は、憂鬱で、夕暮れの消毒液はとても、しみて、僕は、自分の感情を、把握しきれないまま、雑然と生きてるよ
愛の言葉
あなたの沈黙はやわらかい
材質に気付くまで、
固いものだとばかり、思っていた
あなたの沈黙はやわらかい
あなたはわたしを厭わない
そこにいられないわたしを厭わない
あなたが、好きです
ずっと、変わらず、一方通行のまま、
浄化と、抽象化の、境目で、眠ったまま、ずっと、ずっと、あなたが、好きです、
あなたの口から、
わたしを拒否する、
言葉が出ないうちは、
わたしの心は、衛星のように、
いつでも、あなたの心を周回する
あなたが、好きです、
ずっと、好きです、
気付かれないように
気付かれることを願いながら、
好きだって、繰り返している
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