アキレスと亀 異聞①
「アキレスと亀 異聞①」
若いアキレスは先にスタートした老いた亀を追い駆けた。アキレスはす
ぐに亀に追い付いたが、追い越そうとしてはたと立ち止まった。
「えっ!どこ?」
アキレスは亀の足跡をたよりに駆けて来たが、亀に追い付いた途端に広い
荒野の何処を目指して駆ければいいのか分らなかった。アキレスは仕方な
くのろい亀の後をトボトボとついて行くしかなかった。つまり、アキレス
は亀を追い越すことが出来なかった。それを遠くから見ていたゼノンはし
ばらく考え込んだ後、
「そうか!」
と言って手を打った。
(おわり)
アキレスと亀 異聞①