嘘つきの恋

藤里 圭

落ち葉の中で


夕暮れ、

すっかり死んだ、わたしのからだ

すっかり死んだ、わたしのこころ

微笑む、微笑む、何度でも

言いたいことを、
きちんと言うのが、正義なら、
既に、わたしは、犯罪者だ

微笑む、誰のためにもなれなかった、

耐える、誰にも認めてもらえなかった、

朽ちる、誰にも愛してもらえなかった

絶える、誰にも助けてもらえなかった

嘘と毒と砂糖水、サイダーと混ぜて、ごくごく飲もう、雪が降るまで、
神経過敏な朝夕を、胃の中で溶かして、わたしは、ひたすら微笑んだ、

嗚呼、信仰と献身があったなら

嗚呼、信念と雄弁があったなら

ブルーライトの贖罪に、気付くことなく、生きてみたい

哲学者の本懐

叫びたい気持ちは殺して、
わたしの声帯からは歌が生まれた

退廃的なメロディラインに
わたしの心臓は共鳴している

五線譜の下に、ちいさなわたしの死体たちが、横たわっている、

指と指を結び合って、死んだ言葉をたくさん敷いて、安らかに安らかに、横たわっている

わたしの周りの空気は薄くて、
わたしは上手に歩けなくなる、

そうして、

わたしは、また、死んでしまう
わたしの、居場所は、いつのまにか、無くなって、簡易的な立ち位置から、あの人の背中を見つめていた

そうして、

届くことのない歌を、たくさんたくさん、歌って、たくさんたくさん、わたしは死んで、ボロボロボロボロ、崩れやすい砂糖菓子みたいな生き方を選んでいる

永劫回帰に到達できず、未熟なままで、生きたり、死んだり、咲いたり、枯れたり、を、繰り返している

嘘つきの恋


嘘をついて生きてるあの子はきれい

嘘は透明で甘くてやさしい

嘘を飲み干して、微笑むあの子は、とても、きれい、

からだが透き通っていく

「あいしてる」

その言葉には、きらい、の片鱗も見付けられずに、世界中、ぜんぶ、ぜんぶ、あいして、微笑む、あの子に、みんな、みんな、救われている

透き通る、あの子の指先で、
透き通る、あの子の優しい声で、

真理というものを疑似体験する

(うそって、いいのよ、微笑むの、ぜんぶと、繋がってね、その時、空虚になって、透明になって、わたし、まるで、かみさまになったような、気持ちになるの、ほら、空気と、わたし、境目がないでしょう?)

おまじないのように、微笑む

あの子のこと、僕は、信じている

嘘をついて、きれいになる、あの子を、信じている

透明に、透明に、憧れた、あの子は、いつまでも、いつまでも、人を救う

慈愛を全て纏って
嘘をつく

嘘つきの恋

嘘つきの恋

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-10

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 落ち葉の中で
  2. 哲学者の本懐
  3. 嘘つきの恋