狂喜-4-
彼女がここに来たことには驚いた。
間近でみる彼女の肌は透き通っていて、持っていたゆず茶(甘ったるくて僕は嫌いだ)をこぼさないでいることに必死だった。
宮部 れいな
A組で、図書委員をしている。
先週肩まであった髪をショート丈に切った。
いつもカバンにはハンカチとポケットティッシュが入っている。
入学式では1番に登校していた。
その日から、彼女を見守るのが僕の役目だった。
きちんと帰れているのか、変な虫がついたりしないか。
見守るだけで、とても幸せだった。
だけど、文化祭の出し物で喫茶店をして
彼女がここにいる。
運命だと思った。だって、彼女の僕を見る目は今までと違った。
その証拠に、次の日から彼女の生活が変わった。帰りは真っ直ぐ帰らなくなった。
僕を見ている。
確信があった。
狂喜-4-