傘
同じ傘の下
二人一緒に居ると
元気な晴れの日も
憂鬱な雨の日も
幸せな気持ちになれた
差した傘の上
空から降る雨粒が
奏でる音楽は
いつかラジオから
聴こえた曲に似ていた
呟いた君の声は
轟音に掻き消された
もう一度なんて言えなくて
君に傘を寄せて
気付かれないよう涙を流した
同じ傘の下
土砂降りで濡れた
冷めた青い体を
予備のパーカーで
満遍なく覆った
差した傘の上
遥か遠い宇宙から
見れば僕らは
塵よりも小さい
存在だった
片思いでいいと
伝えようとしたのに
風が強くなってきた
寒くて震える
君に何も言えずに涙を流した
傘