限りなく黒に近い空

初めて君に出会ったのは小さな駅のホーム
あの日空は雨を雪に変えようか悩んでいた

隣街の母の家に向かいながら僕は君に恋をした

この気持ちが恋だと気付いたのはもっとずっと後だったけどその時僕は確かに恋をした

小さな駅のホームの錆びついたベンチで僕は座って汽車を待っていた。
雪の多い地方では電車ではなく今でもディーゼルエンを積んだ汽車が主流だ。
本数も1時間に1本あれば十分で少ない時には2時間近く待たなければ列車が来ないような田舎で僕は育った。
そんな不便な町だったけれど父と母と共に過ごした街を僕は愛していた。

今日は2学期の終業式。午前中で学校も終わり3年にもなると部活もなくなり早々に学校を出た。
思えばそれが間違いだった。最初に汽車の時間を確認しておけばよかった。
僕が駅に着いたのはちょうど汽車が出発してから数分しかたっていなかった。
次の汽車が来るのは13時51分時計は13時15分を指していた。

限りなく黒に近い空

限りなく黒に近い空

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-31

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