パレット・シンドローム

藤里 圭

フィクション

芯を失って、
あの子はキレイになりました。
詩情を失って
あの子は微笑むようになりました。

死んじゃえを繰り返して
あの子は月曜日の心臓を探す

正しい人たちのお祭りが
あの子を苦しくさせている

あの子から溢れる、
白い光は、
燃えないゴミの日に、
捨てられました

あの子のことは、
きっと次の瞬間忘れてしまいます。

誰の頭にも残れない
一文の命に重さなど無かった

ただ、誰の頭にも、
残してもらえなかった

パレット・シンドローム

刹那、死んでしまう、

いつも、そう、

風を切るより、早く、

言葉は、牡丹みたいに、落ちてしまう

鴇色の、夢を、縹色の、純情を、

潔白は、火に焚べられた、
淡い予感なんて、ぜんぶ死んでしまった、

事象だ。

ホトトギス、ホトトギス、悪夢の最中、譫言が生まれた

絵の具を、もっと、もっと、

渇望、美を浮かべる

色水は、水たまりと繋がり合う


わたしの意識はだれも繋いではくれなかった

白い肌、嘘つきの、肌

絵画の前で


美しい乙女が、笑っている
美しい乙女は、光っている

深海に隠した、天国への地図

海底に暮らす、豪華客船の中で、
カードキーが光る

泉と深海は、ギヤマンのトンネルで、繋がっている

嘆きの声と、流行歌が行き来して、
ヒトの形をした、思いも、時々、流れていく

美しくなれた、乙女たち、
蜜を吸う、蠢く喉が、才能の起爆剤、

濡れた落ち葉に埋もれていく、
艶やかな芸術の片鱗たち、

一緒に、地図を探しましょう

革靴を履いたあなたに呟いた
掠れた声が、乾燥した空気に、触れる

美しくない、わたしを、寒気は、暴く

あなたの革靴は、無口なまま、光っている

オレンジ色の空は、最低気温を知らせる

パレット・シンドローム

パレット・シンドローム

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-08

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  1. フィクション
  2. パレット・シンドローム
  3. 絵画の前で