ランチ・ボックス

藤里 圭

ランチ・ボックス

世界の収縮が、音になる
1人で食べるお昼ご飯によく合った

じゃがいも、たまねぎ、ごぼう、
今日食べた物の名前を確認する

デザートのプリンは、世界の中心と同じ顔をしているから、私は信じたふりをして食べた

信じる私の口の中、世界の収縮なんて嘘だって、叫びたがっていた

いずれにせよ、私は謝らなきゃいけなかった

(世間様は、わたしに、やわく、あまい、なんて、嘘よ、嘘よ、)

色々な作用を求めて薬を飲んで、身体はひとつも健康になれないままぶるぶると震えている

食事を、しているわたし、見ている、わたし、諦めている、わたし

みんな、みんな、キラキラするために、骨に近づいていく

あの門を疑ったりしなければ、わたしはいつでも健康で、

それは、美しいという誤謬が生まれて、

わたしは蝋のお菓子を眺めたまま、濁った眼球で微笑んだ

アフター5の生命維持


私を生かしているのは

プレイリストの音楽
ゲームのスコア
アルコール
空気、水、動物の肉

生きろって言う
生きろ、生きろ、生きろって言う

この音楽は死にたくなったら聞く音楽
このゲームのクエストをクリアするのは生きてく上でのモチベーション
アルコールは生きてく上での麻酔薬
たべたり、のんだり、本能的活動

生きて、生きて、生きて、

(笑って、頷く、害のないわたし、が、お好きでしょう?)

そんな、ナイフ、いらないって、
言う、言おう、言ってやろう

プレイリストが増えていく
新しいクエストが始まった
美味しいお酒は1人でも美味しいから、きょうも、やさしい、ありがとう、

そう思って微笑むことで、わたしは生きていられるようだった

イヤホンがわたしを生かしている

イヤホンが無ければ、わたしは、きっと、音楽のかわりに叫んじゃってる、喉から、血が出るまで、

娯楽、コンテンツ、は、消費されてしまう悲しさごと共感の渦になって、わたしを巻き込んでくれる

だから、生きていけている

今日も、愛想笑いに精を出す

みんな嫌いだって、言わないで生きていられる

狂えないわたしの、生命維持を、してくれる

わたしに生きろって言ってくれてる

ランチ・ボックス

ランチ・ボックス

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-06

Copyrighted
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