ハローウィンの渋谷

 今日の私は、風邪をまだひいていたが、夫の職場のある町へ向かった。毎回待ち合わせする喫茶店に入ると、いつも面白いと思っている店長がいた。お笑い芸人に似ていて、関西弁で背が高い。声がよく響くのだが、お客様への気遣いが関西弁を交えてかなりのアットホームな接客である。チェーン店なので、個人経営の店の店長とも違う、他の店員も抱えた何とも言えない、あまり見た事の無い明るさの接客をする店長なのだ。
いるのを発見する度に笑いそうになってしまうのだが、思い起こすとハローウィンにそんな店長を見れてラッキーだったのかもしれない。
 そんな店長の声が響く中、夫がやって来て、いつもとは違う彩りのケーキを頼んだ。(小豆シロノワールなのだが)コーヒーとケーキを食べながら私達は帰ろうか、渋谷に寄ろうかと、話し合った。今いる町と喫茶店は渋谷に人を吸われた様ないつもより静かに思えた。そんな静かな店内で店長と店員の声は響き続けていた。
レジは店長ではなかったが、会計を済ますと私達は電車に乗って、渋谷で降りた。

 ホームが混雑してる中、2、3人仮装してる人がいた。私達が改札を出てハチ公口までエスカレーターであがると、渋谷はもの凄い若者で溢れていた。私達は始め全く動けないように思えたが、ちびちびとスクランブル交差点へ歩みを進めた。仮装してる若者も、してない若者も、サラリーマンも、OLもいる。
私達はスクランブル交差点の信号までの1.5mの距離に至るまで数回の信号が変わるのを目撃した。それ位、前に人が溢れていて皆なかなか動けなかったのである。
 それでも信号が青になると私達は信号をよちよちと、しかし早歩きで歩き始めたがあっという間に赤になった。それでも、車と警官が、誘導をしていて私達は無事に信号を渡り終えた。
センター街は無理だろうという結論を2人で出して通行止めにして解放されていた歩行者天国になっている109から東急本店の方への道路に向かった。もの凄い人数のコスプレをした若者が、もの凄い活気で歩いたり写真を撮ったり交流をしていて、それが109から東急本店前の警察の車まで続いていた。もの凄かった。 

 何故、私達がハローウィンに渋谷に行くようになったかというと、私のバイト先の後輩が、ハローウィンに仮装をしたというので、気軽にコスプレをする若者の感覚がわからなかったし、私も昔コスプレをコミケでしてみたいと思った事が昔あったから、興味があったのだった。
夫はアニメが好きなので、アニメのコスプレに興味があるのだろうか。

私はコスプレをするには中途半端な年齢なので、夫は黒、私は茶色のコートを着て地味に歩いていた。私は携帯の動画で109から東急本店までの道を歩きながらコスプレをしてる若者を撮っていた。
おばさん達が迫力ある仮装をしていたり、変わったコスプレをしてる若者もいた。
 私達は風邪をひいていたので、東急本店からセンター街に折り返す事無く、神泉駅まで行って帰ろうと思った。その方が空いていると思ったのだった。
 渋谷のホテル街の坂を昇っていくと、コスプレをしてる人もいたが普通の格好をした若者、大人達が、さっきのオープンなコスプレをする若者達がいた場所とはまた違った猥雑な雰囲気の漂う場所に沢山いるのだった。ライブをやってるらしくライブハウスに沢山の若者が並んでいて、クラブの前では「コスプレ無料」と書いてある、看板を持った店員がいた。
私達はホテルに入ろうかと半分冗談なのか本気なのか話しながら、坂を上がると迷いながら神泉の方へ向かった。

神泉は、落ち着いた美味しいお店が並んでいる道がある。そこにはコスプレをしてる若者はいなかった。(帰りに1組だけ見た。)外人の家族がコスプレをしてるのと、カメラを持った外人のカップルが黒い格好をしている位で後は落ち着いた若い大人ばかりが、渋谷の中心の喧騒から離れて、飲み屋でそれぞれの食事と呑みのひとときを楽しんでいる様子が見えた。
 しかし私達は結局どの店にも入らず、迷いながら神泉駅から帰った。電車は然程混んでいなかった。神泉から明大前に出た。ハローウィーンのドーナツが駅で売っていたのでようやく私達は自分達のためのお祝いのお菓子を手にしたのだった。
 風邪と年齢の疲れを予想していた私達は、神泉駅のホームで混んでいたらどうしようとげんなりしかけたが、それは杞憂で、明大前から電車に乗ると席はガラガラだった。結局私達は降りる駅まで座る事ができたのだった。
私達は帰ると、うどんを作り、結局ドーナツを食べる前に12時になったので私達は明日ハローウィンを追想する事になったのだった。

ハローウィンの渋谷

ハローウィンの渋谷

ハローウィンの渋谷の街について書きました。

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-05

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