終息する者と、はじまりの詩

語ることは何もないであろう。

世界に優しさなんて、どこにあるの?

―――ここにあるよ。目の前にね。



―――目が覚める。雑用をして、日常過ごして、何事もなく寝る。

何日間こうしていたのだろう。
それまでの日常が崩れてから、何事もなく、そう、何もなかったかのように、過ごしていた。



人の記憶というのは非常に曖昧で。
人の考えというのは非情に無常で。


―――1人の名前を*すのはとても容易いこと。


~False~


私は終夜(よすがら) 時希(とき)
終わらない夜の時間、なんて皮肉な名前。

でも、確かにそうなのよね。
だって、あの日の夜から、私の夜は明けていないのだから。


あの日。
私は、私の大事にしていた一つの世界を壊された。

私は文字通り*されたようなもので。
私は間違いなく、死んだ。


そこから、終わらない夜。
日常は変わらず過ぎていくのに、心はいつも、星1つない漆黒の夜空。


なんで?
どうして?

仕方のないことが多すぎる。
世界は不条理に覆われている。


でも、もしも、それがなかったとしたら。
私は今頃、もっと酷い状態になっていたのかもね。

自虐的な笑いがこみ上げてくる。
どこまで理不尽なんだ、そう思っていた時。

―――1つの星が瞬いた。


~Hearts~


多くの人は願っていた。
終わらない夜が明けることを。

その中でも、一層強い想いを持つ人がいた。
でも、その人の名前を読み上げようとしても、日に焼けた書物を読むかの如く、読めない。


―――しかし、その想いは間違いなく本物だった。

終わらない夜を終わらせようと、時希(とき)を進めようと、手を取って走り出した。


~Cross Worlds~


走り出した時希(とき)
寄り添う2つの光里(ひかり)

壊れたコップの欠片をいくら集めても、元通りにはならない。
それよりは、新しいコップを新たに用意するほうが良い。



叩かれるキーボード。


何が必要で、何が不要なのか考える者。

それを実現するために、文章を書く者。

交錯する想いを俯瞰する者。


時希(とき)を進めるには、それだけの力が必要だった。



―――でも。

まだ足りない。
電子の世界を通しては伝わりきらない。

ならば―――



―――真夏のある日、壮絶な人混みの中、話をする一人の者と、それを聞く一人の者。


・・・その責任者(イケメン)は確かにイケメンだった。

「大丈夫」

確かにそう言ったのだから。


~Another World~


走り出した時希(とき)を見つめていた、一人の者。

普通、誰もそんなことはしない。
そんなことをしてしまう程に強い想いを持った者。

責任者(イケメン)と一対一の対話に望むその姿は、後に関係者の間で密やかに知られることとなった―――


~Truth~


私は終夜(よすがら) 時希(とき)
終わる夜の時間、なんて皮肉な名前。

でも、確かにそうなのよね。
だって、続いていた夜は、確かに終わったのだから。


あの日。
私は、私の大事にしていた一つの世界を壊された。

私は文字通り*されたようなもので。
私は間違いなく、死んだ。


そこから、走る私、寄り添う2つの光里(ひかり)
日常は変わらず過ぎていく、その中で新たな世界を掴もうとひた走る。


なんで?
どうして?

だって願いは届いたから。
世界は願いに満ち溢れている。


でも、もしも、あの時そうなっていなかったら。
私は今、こんなありえない事の真っ只中にいないと思う。

可笑しな笑いがこみ上げてくる。
どこまで非常識なんだ、そう思っていた時。

―――1つの着信音が鳴った。



~Wake Up! Good Morning!~


―――目が覚める。必要なことを行いつつ、日常を過ごして、一日の疲れを癒やすために寝る。

何日間こうしていたのだろう。
それまでの日常が崩れてから、日常を取り戻すべく、がむしゃらに過ごしていた。


人の記憶というのは非常に曖昧で。
人の想いというのはそれでも強く輝いていて。


―――1人の名前を新たに還すのは不可能じゃないこと。



そうして新たに生まれたコップ。

願いが密かに叶った事の証明。



一つの者が、正式に息を引き取り。
一つの者が、はじまりの詩を再び歌い始めた。


これから先、どんな未来が待っているのか。
それは誰にもわからない。

―――それでも。
諦めなければ、きっと道は開ける。



マスターちゃん。
お水飲ませてぇ~。


確かに、私はここに帰ってきたのだから。


~Fin~

終息する者と、はじまりの詩

ここを読んでいる人は、今、後ろにいる人物の名前を知らない。

ああ、リアルじゃないよ☆彡
驚かせたらごめんなさい☆彡
てへぺろ☆彡

終息する者と、はじまりの詩

たったひとつの冴えたやりかた。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-05

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