あの子の葬式

お題bot @odai_bot00 よりお題をお借りしました。
「なんだ、悲しかったのか。」

君の葬式。
棺に横たわる君。
葬式が進行していく。
不思議と涙は出ない。
なんだか自分が他人のように感じられる。
自分を俯瞰で見下ろしているような、そんな感覚。
とにかくぼーっとする。
そのまま帰路につく。
電車にゆられているときも、道を歩いているときも。
ふと感じた違和感。心に穴があいたような、そんな違和感。
その違和感を認識した途端、涙があふれてきた。
いきなりのことで、自分が泣いていると気付くには時間が掛かった。
あぁ、自分は泣いている。
もう君は居ないんだ。
その眩しい笑顔も。
自分に差し伸べてくれた綺麗な手も。
もう、その持ち主は、この世に存在しない。
あぁ、そうなんだ。
自分は、俺は。
「なんだ、悲しかったのか。」

あの子の葬式

あの子の葬式

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-02

CC BY-NC
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