2メートル弱の温度
肩口が濡れるのなんて気にならなかった。抱いた腕に力がこもる。温度の溶け合うのがわかって、早くなる鼓動が恥ずかしい。
僕はちっぽけで弱虫だから、あなたの苦しみをすべて拭ってあげることはできない。だからせめて、あなたの凍えた心をこの腕の中で温めてあげたいのだ。これが唯一僕にできるあなたの助け方。
ごめんねの言葉とともに肩の震えが小さくなっていく。あなたの心に熱が戻っていく。願わくばこのまま、僕の温度であなたの心を、このまま。
2メートル弱の温度
自分の温度で誰かが救えたらって、たまに思います。