高ノ宮陶子さんのイソフラボーンな毎日

これからまだ書く予定です。気長に付き合ってください。

大人になるにつれて、境界線がはっきりしてくるの。
他人と自分の境界線。高く、厚く、堅い境界線。
それで他人との衝突が多くなって、自分の利益中心に考えるようになって。
いつの間にか共感できなくなるの。

こどものころはやわらかくて、優しかった感情が、
いまはどんどん固くなる。

こんな風になるんだったら、歳なんかとるんじゃなかった。
ネバーランドに大人がいないのは、大人が夢を見れないせいね。

それは大人に失礼じゃない、と僕は言った。
陶子さんはアボカド豆乳を飲んで、雲を目で追っていた。

今日は電車で素敵な親子がいたわ。
小さい男の子とおかあさんが、優先席に座っていたんだけど、
突然お母さんが、女の人を見て、男の子に何か言ってね。
男の子がその女の人のとこに行って、どうぞ座ってください、って。
女の人のカバンをよく見たら、おなかに赤ちゃんがいます、のキーホルダーつけてた。
またおなかが薄かったから、きっと3ヶ月とかかな。
その親子、そのあと離れていって。
私も近くに座ってて、私がかわるべきだったのに。

お母さんだから気付けたんだよ、
代わろうと思ったことが、尊いよ。
僕が言うと、陶子さんは桃味の豆乳を僕にくれた。

陶子さんは毎日豆乳を飲んでいる。ココアだったり、梅だったり。
今はいろんな味の豆乳があるんだなぁ、と僕は感心する。

陶子さんは隣の席の女の子で、毎日豆乳を飲んでいるせいか巨乳だ。美人ではないけど。
(豆乳飲めば、巨乳になるとは限らないと思うけど)
それから、普通の女の子とはちょっと違う。
他の子みたいに集団できゃぴきゃぴしないし、
はっきりいうと僕以外と話しているところを見た事がない。
別にいじめられてるわけではないけど、
成績優秀でメガネでおかっぱだから話しかけづらいのかも。

でも僕には話しかけてくる。
聞いてもないけど日常のこと、全部。
その内容を聞いている限り、陶子さんはいい人だし、普通の人だ。
僕は彼女が話しかけてくれるのを、毎日楽しみにしている。

高ノ宮陶子さんのイソフラボーンな毎日

高ノ宮陶子さんのイソフラボーンな毎日

豆乳好きの女子高生と僕。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-30

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