病氣の放送局

藤里 圭

ラジオの詩


あとすこしで
お昼休みです
どうにか、午前中、生き延びました
とても、えらいこと、だと思います

あなたも、午前中、生き延びました
とても、すごいこと、だと思います

みんなみんな、お利口さん
みんなみんな、よい子です

白いお歌を歌いましょう

それは罪ではありません

「申し訳ございません」

「申し訳ございません」

「申し訳ございません」

全部、全部、間違いでした

病氣の放送局

眠たい身体に
反するように
心臓だけが、働き通しだった

布団に沈む、切り傷たち、
心音が足音になって、

せめて、君の後ろに、
置いて欲しかった

責め続ける、誰かの声は、
頭の中の、有線放送、

死んでいった、私の言葉が、
無許可で、投稿されていた

熱が出たのに、すぐ下がる

私は臥していたかった

身体にできた、ひずみが、ひとつ

病床で、君の名前をつぶやいて

心臓の、テンポは、乱れていきます

縫い付けられた身体を、
夜に漂わせて、
君の名前を呼んでみる

冷たい空気に月の光は、
透明なまま反射する

なんて綺麗な月夜でしょう

私の悲しみが入る隙間はなかった

地球の裏側、表側、

それは、寂しいことでした、
それは、確かに拒絶です、

明るく笑う世界の中で、
誰かが泣けば、私は締め出される

「悲しみなら、間に合ってます。」

この子の悲しみが、世界の悲しみです。あなたの、悲しみは、みんな、

「欲しくありません。」

みんな、あなたの声が、邪魔なんです


インターホンで、許された会話に、
私の虚空は晴れ晴れと広がりゆく

つなぎ目が見つかれば、そこに入れてもらいたかった

つなぎ目は隠されたから、永遠に見つからない。いつか隠された、何かのよう。

何かを隠された記憶も、
無くしてしまいました。

私は何も見つけられなかった

この先を、心臓だけが、生き抜いて、後ろに影があります。

きれいでは、ありません。

どうぞ、眉をひそめたくても、どうか、私の心臓には、わからないように、お願いします。

よろしく、お願い、します、ね、

まどろみとピアノ

夜のトレモロは
子守唄のようで
私の寝息が部屋に溶ける

今日はどんな1日でしたか?

夢と枕の分岐点で君に会う

私は微睡む
君の顔がぼやける

君はテンポよく
深淵へと歩いていく

私はしゃがみこむ
君が行ってしまう

今日は、どんな1日でしたか?

君が腰まで夜に浸かる頃
私はバランスを崩して
転げ落ちていく

ピアノのような音を立てる

君が笑っている

今日は、どんな1日でしたか?

すぐそこに日の出が迫る
月の顔色が悪い

今日は、頭が痛かったの

君に告げると、君は微笑む

いいゆめ?わるいゆめ?

転んだ先に、アラームが待っていた。

病氣の放送局

病氣の放送局

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-27

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  1. ラジオの詩
  2. 病氣の放送局
  3. まどろみとピアノ