ひる

仁見 雫

窓際の特権は暖かい日差しと、夏場の涼しい風が来ること。冬場はストーブがすぐ近くにあるから眠くなってしまうけど、それも窓際だからこその体験。席替えの度に運良く窓際に当たってきたおかげで、その特権は思うがままの日々だ。
一つだけ、欠点とまではいかないが、惜しい事がある。授業中に飽きて窓の外を見た時、玄関口で誰かが帰っていた。風邪で早退したようには思えないし、部活の大会があるようにも見えない。学生服のまま、髪が長めな奴で、男。たしか同じ学年のあまり目立たない奴だった。小学生の時なら、早く帰れてずるいとか思ったのだろうけど、少し大きくなった僕はもうそんな事はどうでもよくなってきた。
ならどうして彼は帰っているのだろうか。いじめられでもした?体調不良でもおこした?それとも…
考えても答えが出ないのは知っている。けれど気になって、あまりに見過ぎて先生に注意された。
授業が終わって、次の授業になっても、まだ彼のことが気にかかる。名前こそ忘れたけど、同じ歳で、彼だけが僕たちと違う行動をしていた。そんな彼を羨んだんだろうな。きっと。
昼前、一人早く帰った彼のことは、昼休みに友達と話しているうちに何故か綺麗に忘れていた。

ひる

窓際に当たったことがありません。うらやましいです

ひる

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted