ままごとごっこ

藤里 圭

発熱


砂糖菓子の行進だ、白くてほろほろ、
いとおしい

お加減いかが?
あられの行列、ふわふわしてる

かわいい、かわいい、ぼんぼりに、
ちいさい、ちいさい、おててをのばす

ぽんぽん、ぽんぽん、お菓子が跳ねる
病氣の星が、金平糖に着替えてる

お熱の出た、ぼうやのひたい、
ふらふら、ふらふら、行列に、
ひよこの、ように、ついていく、

おかあさん、お菓子を、捕まえましょう、
ぽんぽん、ぽんぽん、跳ねてます、

ふわふわ、ふわふわ、行列に、
ふらふら、ふらふら、ついていく

親子の詩


私の子どもを抱きしめる
子供の髪は黒くて柔らかく
つやつやと光を受け入れている

私の子どもを抱きしめる
私の頬に、黒くて柔らかい
子どもの髪の毛が触れる


私の子どもを抱きしめる
子どもの体は柔らかく
白い綿のシャツから伸びた
細い腕は夏の日差しをたっぷり浴びて
小麦色に日焼けしていた


私の子どもを抱きしめる
子どもの身長はまだ低く
がっこう、でも、前からさんばんめ、
だと、話していた


私の子どもを抱きしめる
子どもの体からは石鹸のにおいがする
清潔で、暗いところが、1つもない
どこまでも爽やかで、
どこまでも空色の、
やわらかく、やさしい、
石鹸のにおいだ


私の子どもを抱きしめる
これから自転車で出掛けると言う
短パンから伸びた小麦色の細い足が
擦りむけたりしないで欲しかった


私の子どもを抱きしめる
子どもは太陽みたいに笑っている
子どもはこの世界を愛している
家族がいる、友達がいる、学校が楽しい、幸福に固められたこの世界を、猫を優しく抱きしめるみたいに、胸に抱いている


私の胸に少しずつ、
幸福な光が積もってゆく、


私の子どもを送り出す
子どもは白い光とグリーンカーテンの下を迷うことなく自転車で走ってゆく

ままごとごっこ


朝は、布団の中で、卵を温めます
この世界の、不吉から、守るように

私は、布団の中で、うずくまって

お腹のあたりに、冷たい、卵を置いて、

私の体温が伝わるように、
卵を温めます

卵は永遠に孵らない
私は、ちゃんと、知っています

会社を休んで、孵らない卵を温めます

これは、母性です

乳白色の夢を見てる卵を、温めます
それが、私の母性です

この世を覆う寒気団が
窓から入らないように

私の周りの騒がしさが
ドアを叩かないように

祈る思いで温めます

布団の重みに卵が潰されないように

鳥が外で鳴いています
心無い言葉だと思います

私は色々なお薬を飲みました

鳥の声が卵に聞こえないように
一層身体を縮こませました

頭痛がします
それは、卵の痛みです

私は、卵から与えられるものは、
全て受け入れます

みなさま、これは、母性です

ままごとごっこ

ままごとごっこ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-25

Copyrighted
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  1. 発熱
  2. 親子の詩
  3. ままごとごっこ